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第950回 東北三省の新しい動き—2—

(2020年12月24日)

前回述べたような背景の下で、東北地区全体の地域発展構造の枠組みとして提起されたのが“一帯一路” ともリンクする“三縦四横”経済ベルト構想(“三縦”:主軸線・東縦線・西縦線/“四横”:北・中・南及び「満州里-集安」)で、さらに八大国境窓口(遼寧省:丹東、吉林省:集安・琿春、黒竜江省:綏芬河・撫遠・黒河、内モンゴル自治区:満州里・二連浩特)を支点として国境増地域の開発開放を展開しようというものです。       
2018年1月、上記の構想を具体化するための条件づくりとして、国家発展改革委員会の後押しを受け、国家開発銀行と国家開発投資会社が音頭を取り、40余りの金融機関を糾合して<東方振興金融協力メカニズム>を北京に設立、オープンな情報共有プラットフォームと投融資支援協力プラットフォームを設け、資金を集め、東北旧工業基地の振興を助けることになりました。       
こうした取り組みにより、各省が公表した数字では、2020年上半期、コロナの影響がある中、遼寧省(5月までの数字)は、民営企業の輸出入総額が17.4%増加し、“一帯一路”関係国との輸出入総額は17.1%増、吉林省は省全体の一定規模以上の工業増加値が全国平均を4.6ポイント上回り、前年同期比3.3%成長、黒竜江省はハイテク産業投資比率が昨年同期比51.1%増、うちハイテク製造が66.2%増とのことですが、その中心が期待されるのは各種の特別区です。例えば、上海から始まった自由貿易試験区は、2015年には広東・天津・福建に広がりましたが、翌2017年にはこれらをベースとした<遼寧自由貿易試験区>の設置が国務院の認可を受け、貿易・投資の利便化、金融サービス業の会報、行政管理体制改革、国有企業改革、サービス業の開放に取り組むことになりました。また、同省の瀋陽経済開発区には、既に2015年に「中独ハイエンド設備製造産業パーク」の設立が認可され、ヨーロッパ以外で初のBMWのエンジン製造工場がスタートし、シーメンスや産業ロボットのクカも加わり、中国製造2025とドイツのインダストリー4.0の協力として一時、中独蜜月時代を現出しました。遼寧自由貿易試験区は設立後2カ月弱で4419社が登録、区内の瀋陽分区、大連分区、営口分区がそれぞれ独自の方策を推進しています。2019年8月には、黒竜江省自由貿易試験区も新設され、ロシアや東北アジアの交通物流発展の中心的役割が期待されています。   

次回は1月7日の更新予定 テーマは<半導体を巡って>です。

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