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 第九十六回 麻薬取締り

全国の麻薬関係犯罪11万件、逮捕者9万人、押収されたヘロイン9.29トン、ア ヘン1.21トン、覚醒剤3.19トン、大麻1.3トン、エクスタシ−301万粒、手入れを受け た娯楽施設4532軒。いずれも2002年の年間統計ですが、これらが氷山の一角であるこ とは言うまでもありません。同年の麻薬患者登録者数は100万人、そのうち青少年が 74%を占め、また、全国2863の県クラス行政単位の約75%で麻薬に関する問題が発生しています。
このような状況を受け、今年3月、北京で国家麻薬取締り委員会全体会議が開催され、2003年の取り組み課題が提示されました。その第一が麻薬の流入阻止です。中国の雲南省はミャンマ−、ラオス、ベトナムと境を接し、世界最大の麻薬の生産地である黄金の三角地帯(ゴ—ルデントライアングル)とは隣り合わせです。この地区のケシの生産は年間1千トンから8百トンに減少したとはいうものの、南下ル−トを阻まれ、大量の麻薬が中国領内へ向かっています。また、アフガンでの麻薬栽培撲滅運動 が完全に失敗し、2002年は3千4百トンと世界一になり、これまた、中国へ浸透しつつあります。 2002年、北京で、中国と東南ア5カ国に国連機関を加えた麻薬対策7者協議第2回会議 が開催され、麻薬取締り協力に関する備忘録(MOU)が採択されました。中国とミャンマ−の間では、既に2001年に協力備忘録が交わされ、中国がミャンマ−の取り締まり要員を養成するなどの活動が開始されています。
現在、中国国内に搬入された麻薬は、多くが雲南から広西、貴州、湖南などを通って 広東に入り、一部は香港、台湾など外部へ搬出され、また、一部は他省を経由して北 方地域に流れていきます。最近の取り締まり強化で、密輸方法は小口分けした個人に よる運搬が増えており、摘発の重点になっています。また、国境を越えた密輸団に対 しては、国際協力が進められており、今年5月には、中国とアメリカに跨る密輸団を、両国の警察が協力して一網打尽にするという成果もありました。 麻薬中毒患者の更生にも、強化改善に向けた努力が始まっています。雲南省では強制 収容期間を従来の3〜6ヶ月から1年間に延長し、一ヶ月の強制解毒期間後はリハビリ農場での労働とカウンセリングに充てて治療と社会復帰に効果を挙げているとのことです。

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