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 第九十八回 考古学上の重大発見−この1年


中国考古学会から発表された2002年度考古十大新発見の中で特に注目されるのが、湖南省竜山県里耶古城で発見された3万枚数十万字に上る大量の秦始皇帝期前後 の木簡や竹簡でしょう。碗米坡水力発電所建設のための緊急発掘で発見されたこれらの史料は、多くが当時の役所の書類で、その記載内容は当時の政治、経済、社会の多方面に及び、時代的にも地域的にも貴重な史料と言えます。 殷墟のある河南省安陽市で発見された洹北商城遺跡は、鄭州の二里岡に代表される殷代 前期文化と、殷墟に代表される殷代後期文化のはざまを埋める発見になりました。2003年には殷墟の西側で27の半穴居式住居を擁する村落も発見され、当時の生活を 知る手がかりとして注目されています。殷代に関しては、今年、もう一つ大きな発見 がありました。山東省大辛庄遺跡で甲骨文片が出土したのです。1899年の甲骨文発見 以後、殷墟地域圏の外部から初めて同様の甲骨文が発見されたことになります。
一方、中国白酒の起源を明らかにしたのは、2002年に江西省南昌市李渡鎮で発見され た元代の酒造工房の遺跡。これによって李時珍による「焼酒(蒸留酒)の製造は元代 から」と言う記載が実証されたわけです。お酒と言えば、この3月から行なわれた西安の工事現場の発掘で、青銅器内に密封された前漢初期のお酒26kgが発見されまし た。米から作られたこのお酒は緑色をした醸造酒で、味も申し分ないそうです。
西安からはこの8月に別の興味ある発見が報じられました。北部郊外の工事現場から北周時代(約1400年前)の夫婦合葬墓が発見されました。被葬者はシルクロ−ドの交易 に従事した高級官僚のソグド人で、墓からは漢字や古代ペルシャ文字などで書かれたソグド人に関する文献資料が発見され、石棺には様々な宗教(ゾロアスタ−教、仏教、マニ教、ネストリウス派など)の影響が見られるとのこと。古代シルクロ−ドで活躍した謎の民族ソグド人を解明する貴重な史料になりそうです。
最近になって、金王朝の始祖、完顔阿骨打の墓が発見されたというビッグニュ−スが飛び込んできました。楼蘭国王や巴国王のものらしき墓の発見も伝えられていますが、建設ラッシュに伴う新発見の増加とともに、その保全も大きな問題と言えましょう。

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