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 第九十九回 変貌する大学入試


今年度の大学入試、募集枠は前年比5%増の335万人で、受験者数は昨年比16%(85万人)増の613万人。うち男子が57%、女子が43%、また、都市部の青年47% に対し農村部の青年は53%を占め、分野別では理工系の学生が48.9%に達しました。 今年はサ−ズの影響下という特殊事情のほかに、3つの注目すべき変化がありまし た。第一が上述の志願者の急増、第2は20年余り続いた7月入試が1ヶ月繰り上が り、6月7日から実施されたことです。7月の高温多雨が受験生と関連交通輸送の確保に与える悪影響を避けると同時に、入学手続き完了までの時間の余裕を考えてのことでした。
第3が入試制度上の改革です。まず、全国22の大学(北京大学、清華大学、復旦大 学、中山大学、重慶大学、南京大学など)で募集枠の5%の範囲で自主権が付与さ れ、独自入試が実施されました。北京大学では有名高校の成績上位者で、特に優れた 創造実践能力を備え、科学技術、思想道徳、文学芸術などの面で抜きんでた学生ということで、45人(従来型入試合格最低点未満14名)が合格、清華大学では、冬季 キャンプによる多面的評価を加えた入試も行なわれました。
入試パターンについても多様化が推進され、北京市では2002年に公布された[3(語文、数学、外語)プラス文科(又は理科)総合] 方式が、上海では[3(同上)プ ラス文科(又は理科)総合+1]方式が、江蘇省では[3(同上)プラス2(政治、歴史、地理、物理、化学、生物から)] 方式が採用されました。全国がほぼこの3タイプに分類されます。
この他、北京大学は、入学時に細分化された専攻を選ばせる従来の方式をやめ、入学後、一定期間の学習を経てから選択させる方向を打ち出しました。幅広い知識と教養を備えた人材の育成が眼目で、「本科教育は基礎教育であり、学生の資質を高め、創造的思考を育てることが大事だ」という視点に立っての事です。
もう一つ、見落とせない改革がありました。今年3月に打ち出された、大学入学に関する健康上の制限項目の改善により、身障者の大学進学が容易になったことです。中国には6000万人の身障者がいますが、その大学進学率はなんと1000人に2人の割合で、今回の改革が障害を持つ若者に朗報となったことは言うまでもありません。

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