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 第202回 環境問題この1年−その1−環境汚染対策

(2005年10月24日執筆)

2003年、環境悪化による損害がGDPの15%に達した中国。2003年以降の中国政府の取り組みについては昨年のコラムでも紹介しましたが、その後も次々と積極的な対策が打ち出されています。予防を趣旨とした法規として注目されたのは2004年6月施行の<環境保護行政許可公聴暫定法>。同法は、2種類の建設プロジェクト(環境に重大な影響を与える可能性があり、環境影響報告書を作成すべき大中規模プロジェクト/付近の住民の生活環境に対し油煙・悪臭・騒音などの汚染で深刻な影響を与えかねない小型プロジェクト)と10種類の特定項目プラン(環境に悪影響を与えかねず、公衆の環境権益に直接関わる、工業・林業・エネルギー・水利・交通・都市建設・観光・自然資源開発関連プラン)について公聴会を行うことを明確に打ち出しました。
2004年9月になると、国家環境保護総局は3〜6年かけて中国の国情にふさわしい緑色GDPの体系を構築する、と宣言、2005年3月には、北京・天津・重慶の3市と河北・遼寧・浙江・安徽・広東・海南・四川の7省を対象に、環境型国民経済の枠組みと汚染による経済的損失の計算方法確立を趣旨とする1年間の試験的な取り組みを開始しました。
地方でもこれに合わせた動きが広がりつつあります。広東省では役人の業績考課に環境保護指標を導入し、貴陽市は循環経済を推進する初めての地方立法として<貴陽市循環経済条例>を打ち出し、その動きは各地に波及し始めています。
毎年7%ずつ増加する工業固体廃棄物の問題も焦眉の急。未処理の危険物累計貯蔵量は1996年〜2002年で2633.9万トンに達し、都市の生活ゴミも無害化処理率はわずか20%にすぎません。そこで2005年4月、生態の安全保護と循環経済の発展を掲げた新しい<固体廃棄物環境汚染対策法>が施行されました。その中で特に注目されるのが、環境汚染損害賠償訴訟において加害者側が無罪を主張する場合、因果関係が存在しないことを加害者側が自分で立証しなければならない、としたことで、これにより、被害者側が立証困難のため泣き寝入り、という従来の事態を回避できるようになりました。また、被害者は環境観測機構に観測データの提供を求め、法に基づいて賠償請求できると規定されました。
取締りの具体的な事例についてはまた次回に。

三瀦先生のコラム