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第348回国内観光業、最近の話題
(2008年10月20日)
2007年、中国全国の観光業収入が初めて1兆元を突破しました。外国人観光客は5472万人、外貨収入は前年比23.5%増の419億ドルに達しましたが、国内観光収入はそれを上回る24.7%の伸び(7771億元)を示し、観光客は前年比15.5%増の16.1億人を記録しました。
2008年はオリンピックが開催され、数字上で更に大きな変化が予想されますが、それ以外にも2008年スタートの祝日休日改革(本コラム2008.3.16-第318号参照)による影響など、中国観光業に対する新たなインパクトには事欠きません。
こうした状況を踏まえ、2008年1月に北京で開催された全国観光工作会議で呉儀副首相は、「観光業は国民経済発展の重要な原動力になっている」と述べ、5つのポイントを挙げて「政府の内需拡大戦略と北京オリンピック・上海万博という好機をしっかり捉える」ようはっぱをかけました。この背景には観光に対する関心は急速に高まっているものの、観光商品の研究開発能力の低さと、その結果としてどこの観光地でも同じような粗悪品が並び魅力に乏しいことがあります。その原因は、知財権が保護されないため開発してもすぐ真似されてしまうこと、また、その土地独自の品は大量生産できず、コストがかかることが挙げられます。
行事にも同じことが言えます。2007年末から2008年初頭にかけて、ハルビン・長春・瀋陽・蘭州・北京など各地で雪祭りが行われましたが、それぞれが似たような企画では、足の引っ張り合いになります。どう独自性を打ち出すか、また、観光客の複数箇所を廻る傾向に対処したルート開発に互いがどう協力するかなど、新しい課題も突きつけられています。
最近ブームになっている古い町並みの観光も、全国で200箇所、更に1000箇所が予備軍として控え、それぞれが、同じような橋に河に旧宅、では早晩飽きられてしまいます。
こういった中、上述の祝日休日改革で、例えば清明節に山西省綿山では第一回中国文化節が開催され、浙江省では大量の人が墓参りに帰郷するなど、端午節・中秋節も加えた伝統的祭日の復活と3日を単位とした小休暇の出現が新しい観光ニーズを生み出しつつあります。
GDPが3000元を越えると観光消費が爆発的に増加すると言われますが、既に沿海の多くの都市が3000元を突破しています。内需拡大の基幹産業として観光業への期待は大きく、今後益々その成長に関心が集まることでしょう。