企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第930回 中国水問題の現状-その1-

(2020年7月30日)

2018年11月の本コラム第847号で「河長制」の推進について書きました。その後の進展と水行政全般についてチェックしてみましょう。       
河長制は2017年末までに23省で成立、郷レベル以上で31万名、村レベルで62万名の河長が任命され、翌2018年前半期末には全国でその設立を完成しました。一方、湖長制も2018年1月に国務院が<湖泊に湖長制を実施することに関する意見>を出し、年末までに全面的に設立、その結果、河長は省レベル409名、村レベル93万名強、湖長は省レベル85名、村レベル33,000名強に達しました。こうした成果を踏まえ、2019年以降は更なる向上に意が注がれ、水質観測網の充実、評価制度の確立などの制度設計が主たるテーマとして取り上げられるようになりました。また、水行政についても、いわゆる“九竜治水”と言われる多頭管理による弊害を取り除き、“一竜管水”へ移行し、各管理部門による合同部隊が編成され、統一された法的管理を目指す取り組みが始まりました。   
水利行政のここ数年のこうした抜本的な取り組みは、水の汚染や水不足に対する危機感の表れで、何とかこの状況を打開すべく、早急な成果が求められていたからです。しかし、水利事業に携わる高級技師は2005年から2015年の十年間で2000名しか増加しておらず、そこで政府は2017年に、今後三年間で3000名の高級技師を養成する方針を打ち出しました。   
2017年の19全大会の報告で、水利が九大インフラネット建設のトップに掲げられたことについて、陳雷水利部長は、①地域協調発展戦略を踏まえて、水の節約・供給プロジェクトを172実施、②洪水対策を強化 ③農村振興水利建設を強化 という三大施策を掲げました。   
また、こうした様々な取り組みを効果的に推進するために、2018年には全国水ネットワークデータバンクを完成させ、これにより、全国333万本の水系のリアルデータが収録され、全ての500メートル以上の水系と5000㎡以上の湖沼が、いかなる地点からでも検測可能になりました。また、国家地下水観測プロジェクトも2019年初頭に完成が告げられ、全国の平原や盆地の合計10,168か所で水位・水温・水質を観測、そのデータを北斗衛星システムを使って遠距離送信するシステムも導入されました。   
次回はさらに水資源や水質の確保をテーマに、具体的な動きをトレースしてみましょう。   

次回は8月6日の更新予定 テーマは<中国水問題の現状-その2->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム