LastupDate:2006/9/4
トップ現代中国放大鏡
コラム 「現代中国放大鏡」

 第243回 文化遺産の保護と伝承−その2−

(2006年9月4日)

  非物質文化遺産の保護に積極的に取り組んでいる北京市は既に<北京市非物質文化遺産保護事業5カ年計画>を策定、<北京市非物質文化遺産保護条例>の制定を進め、年内には市内非物質文化遺産の洗い出しを完了する予定。また、広州市でも非物質文化遺産マップ・伝承者保護リスト・ランク付けの作成といった取り組みが始まっています。
  2006年2月12日、北京の国立博物館で全国非物質文化遺産保護成果展示会が開催され、約2000点あまりが展示され、中国各地の10大名人による人形や凧の製作・染色や刺繍・年画や切り紙細工などの実演も行われました。2006年6月、文化部は第6次全国重点文物保護単位1080箇所と同時に、民間文学・音楽・舞踏・演劇・曲芸・雑技と競技・美術・手工芸・伝統医薬・民俗という10種の分類に基づく518の第一次非物質文化遺産指定項目を発表、その中には梁山泊と祝英台の伝説・呉橋の雑技・水族の伝統文字、春節・清明節・端午節・七夕節・中秋節・重陽節といった伝統行事も含まれています。
  多くの世界遺産申請予備軍を抱えている中国で、今、注目されているのが、京杭大運河。万里の長城と並び称される大建造物ですが、長い間放置され、現状はずたずたで、原状回復は容易ではありません。しかも、北京市から浙江省まで6つの一級行政区・18の都市を貫く全長1794kmの長大な運河ですから、整備するにも各行政府の一致協力が欠かせません。2004年7月、中国文物研究所がまずこの研究に着手、9月には18都市が足並みを揃え、世界遺産登録を目指すことになりましたが、国と地方政府の役割分担や組織上の問題が曖昧で、その後の進捗状況ははかばかしくありませんでした。京杭大運河が今回の第6次全国重点文物保護単位に入ったことで今後の動きに弾みがつくでしょう。この運河が文化遺産ベルト・水系生態ベルト・庶民の憩いベルトとして蘇ることができたなら、それこそ中国が世界に誇る大事業になることでしょう。
  文化財に関する注目すべき動きをもう一つ。中国は近代史の中で多くの文化財が海外に持ち出され、ユネスコによれば、世界47カ国、200あまりの博物館には167万点の中国文化財が収蔵されているとのこと。政府は2002年以来、2億元を費やして既に6万点を回収しましたが、こういった地道な努力が続けられていることはあまり知られていません。

※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002−2006 OBC-China Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はOBC-Chinaの商標です。