第718回 大家族制崩壊に拍車
(2016年5月9日)
約40年続いた一人っ子政策や、都市化と第2、第3次産業の発展に伴う農村の余剰労働力の都市への移動、流動人口の増加等様々な要因が加わり、中国では有史以来続いていた大家族制の崩壊が急速に進んでいます。ちょうど1年ほど前の2015年5月14日に、人民日報に「我が国の家庭の平均規模は3.35人」という記事が掲載されました。そこから主な数字を拾って、その実態を垣間みたいと思います。
この記事は同年5月13日に国家衛生計画出産委員会が発表した「中国家庭発展追跡調査」によるもので、全国31の省(区・市)、321の県(市・区)、1624の村(居民委員会)、合計32494世帯を対象にした中国初の政府主導による全国的家庭追跡調査です。
その結果が標記の平均規模。所帯平均人数は2〜3人が主で、すでに小世帯が主流になり、四〜六人の世帯を上回っていることが明らかになりました。世代構成も「四世同堂」は昔の話、2世代50.6%、その次が1世代で24.5%を占めました。いわゆる核家族世帯、即ち夫婦と子供、あるいは夫婦だけの世帯が64.3%を占め、家庭の小型化が都市でも農村でも主流になりつつあり、伝統的大家族は農村でも減少が続いています。一人っ子が多いため、夫婦と子供だけの世帯も少人数になります。全国約70%の家庭が一人っ子を遵守しており、農村部でさえ4分の1以上を占めているのです。
人口の流動は結婚にも大きな影響を与えています。未婚男性の多くは農村地区に、未婚女性の多くは都市部に集中という地域のアンバランスも配偶者探しに影響、結果として貧しい農村地帯の男性が生涯未婚に追い込まれるケースが増えつつあります。
育児面では、都市でも農村でも0〜5歳児の世話をするのは主に母親や祖父母で、父親と母親が一緒に面倒をみる家庭はわずか7.5%。流動家庭と留守家庭が常態化し、流動家庭が占める割合は20%に迫り、農村留守児童は農村児童の35.1パーセントを占め、その約半数が両親とも同居しておらず、その割合は47.2%にも達しています。
老人問題も深刻。老人のみの家庭は高齢者の半数を占め、農村高齢者は家庭によるケアが減りつつあり、社会的介護サービスの必要性が切迫しています。一般社会からの介護サービスの提供と高齢者の需要との間にはなお大きな開きがあると言わざるを得ません。
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