コラムに関する感想
お問い合わせ
Last Update:2015/11/25
トップチャイナウォール
コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第296回 計画生育政策の転換 〜 二人っ子政策

Changes to Family Planning Rules 〜 2nd-Child Policy

(2015年11月25日)

  18期5中全会は、計画生育政策を一人っ子政策から二人っ子政策に転換した。中国が急速に老齢化社会に突入し、経済成長を享受できる人口ボーナスの転換点に差し掛かっているところ、GDP成長率6〜7%超という中高速の経済成長を維持するには労働人口を増やすことが欠かせないからである。
  中国社会科学院の蔡ム委員は、出生率が1.77〜1.94を維持すれば、2031年から2035年の中国経済の潜在成長率は7.1〜11.8%に向上し、2046年から2050年には15.5〜22.0%になると予測する。これが18期3中全回における政策転換の決め手になったようである。
  北京大学のLu Jiehua教授によると、現在の世帯あたりの出生率は1.6人であるという。理想的な出生率は2.1人である。日本は、出生率は2005年の1.26人を底に上昇し、2014年は1.42人となっているが、その日本も1.8人を目標とすることが先ごろ提起された。
  2015年9月末時点で全国の176万組の夫婦が二人目の出産希望を申請しているという。2014年の出生人口は2013年よりの47万人増えており、今回の二人っ子への計画生育政策転換により出生数は当然に増えるものと予測される。
  しかし、政府が期待するほど増えるか否かについては、疑問もある。ほとんどの夫婦は2人目の子供を必ずしも欲しないという現実があるからである。現在、出産可能な女性のうち60%が35歳以上の女性であるという。上海婦人連合会の調査によると、45歳以下の既婚女性の54%は2人目の子供を出産する計画はないといい、わずかに15%が2人目を欲しいという。国の社会保障制度に対する不安があるからである。生活コストが増すことに対する不安がある。
  それでも出生率は上述した通り増えるだろう。この場合、ベビー産業にとってチャンスが訪れる。全国で二人っ子政策に適合する夫婦が約9000万組いる。新生児数は毎年200万人増えると予想される。2017年末以降は、新生児が年間300〜600万人に上るとの予測もある。これは現在の17%〜33%増ということになる。
  子供に費やされる消費は年間で1,200〜2,400億元増えることになる。これは、小売総額を4〜6%成長させる効果を生む。経済成長に大きく寄与する数字となる。
  なお、二人っ子政策を真に有効なものにし、経済成長に結びつけるためには、男女の出生率のバランスを図ることも不可欠である。
  現在、男女の出生率差が異常に大きい。現在の男女出生率バランスは、男115人(117人という数字も見られる。)に対して女100人。正常であると男105人に対して女100人である。2020年には3,000万人の結婚できない独身者がいるだろうという。 (参考資料:China Daily 2015.10.31-11.1, Shanghai Daily 2015.10.31ほか)


※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002-2013 OBC-China Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はOBC-Chinaの商標です。
s