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(2015年09月09日)
北京市信訪矛盾分析研究センターは、国外との交流も行っており、 イタリア、オーストリア、シンガポール、フランスの大学と国際シンポジウムを共催したことがあるという。筆者は、同センターのミッションが7月に初来日し た際に交流する機会を得た。意見交換の内容は、非公式なものなので開示できないが、以下同センターのホームページなどで公開されている内容を簡単に紹介す る。 北京市信訪矛盾分析研究センターは、2009年11月25日に設立された。全国初の信訪(行政相談)研究センターであり、行政相談に関する社会の矛盾問題に関して理論および実務上の研究を行っている。 同研究センターは、事務局、理論研究部、特別課題研究部、政策法規研究部、編集部、データ資料部、交流合作部の8部門か らなり、20数名の職員が勤務している。また、研究センターは、21名の有識者(学者)を専門家として招聘し、ほかに社会学者、政治学者4名を学術顧問と して招聘し、理論研究機関誌を発行している。 主な研究成果として、以下の10項目が挙げられている。 (1) 国の「信訪法」の起草のための研究業務。全国規模で立法に関するフィージビリティ・スタディを行い、信訪法草案を関係上部機関に建議している。 (2) 2010年に社会矛盾指数研究を初めて発表し、これは政府機関が社会矛盾をモニタリングする際の指標の基礎となった。 (3) 北京市の過去60年間(信訪制度は、1996年の「信訪条例」施行から始まったわけではなく、1951年に毛沢東が党文献で指示し、確立されている。)、 とりわけ過去10年間のデータを分析し、政府機関のリスク・マネジメントの参考に供している。 (4) 理論機関誌「信訪与社会矛盾問題研究」を編纂し、発行している。 (5) 北京市が第12次5カ年計画を策定するに際して、同センターは経済発展の社会的代償を減少させるという視点からの提言を行った。 (6) 北京都市学院の設立に尽力し、信訪・社会矛盾マネジメントを正式な大学院学位とすることにつき教育部の認可を得た。中南財経政法大学、中国政法大学、北京 連合大学、中国人民大学などにも大学院の専攻コースが設置された。現在、全国の5カ所の政法大学を含む14大学に信訪研究センターが設置されている。 (7) 信訪データの収集と利用のためのシステムを構築した。収集された文献は15億件、うち学術論文は3,000万件に上る。 (8) 信訪・社会矛盾マネジメントに関する大学院生のための教材を作成した。 (9) 2009年から定期的にシンポジウムを開催している。 (10)2014年には中国社会学会、中国公共政策学会の全国大会において信訪が主要テ ーマとして取り上げられた。
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