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Last Update:2015/07/08
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第287回 中国投資公司の海外投資収益

CIC's overseas portfolio

(2015年07月08日)

  中国投資有限責任公司(China Investment Corporation, 以下、「CIC」という。)は、2015年7月3日に同社の2014年の年度報告を発表した。これによると投資収益率は5.47%で、設立以来の累計純収益率は、5.66%、利益は600億ドルになったという。2014年末の同社の資産総額は7,400億ドル超となった。
  CICは、2007年9月29日に中国の外貨投資を多様化し、中国のマクロ経済発展および金融体制改革を目的として、資本金2000億ドルで設立された国有独資企業である。CIC傘下に中投国際有限公司(中投国際)、中投海外直接投資有限責任公司(中投海外)、中央匯金投資有限責任公司(中央匯金)の3つの子会社を有している。
  子会社のうちの中投海外は、2015年1月に設立された会社である。中投海外は、主にCICの海外直接投資業務のプラットフォームとしての役割を担い、直接投資および多様な基金管理を通じて、対外投資を促進し、投資収益率の最大化を目指す。
  CICのインフラ投資部門のある幹部によると、6530億ドルを運用する中国の政府系投資ファンド(SWF)は新興国市場への投資を増やそうとしていると言う。
  UNCRADによると、新興国市場の外資導入金額も増え、外資導入金額の上位20カ国中、新興国が9カ国を占めている。中国もこの新興国への投資を増やそうという狙いである。投資の方向性はどうか。一帯一路戦略およびAIIB設立の狙いからすると鉄道や道路建設といったインフラ投資、鉱山開発などが主体ということになりそうであるが、これだけではなく、機械、電子、医薬などのハイテク産業分野、およびサービス業への投資も増やそうとしている。
  国務院は、2015年6月24日に製造業の高度化をめざす今後10年間の行動計画「中国製造2025」の実現に向け、馬凱副首相をトップとする新組織「国家製造強国建設指導小組」を設けたと発表した。この指導小組の設立発表のおよそ1ヵ月前に国務院は国内設備製造業の海外進出を促す指導意見を発表しているが、この中でCICが製造業の海外投資に資金的支援をすることも指示されている。
  CICは、シルクロード基金へも出資しており、今後、新興市場における製造業分野への投資を手がけるということも増えてくるだろう。
  2014年末までに中国は、50カ国・地域と118の経済貿易協力区を設置している。一帯一路戦略は、中国の新常態下における製造業の過剰生産という問題を解決する手段とも考えられる。現時点で中国の海外直接投資において製造業の占める割合は、20%もないとみなされている。そこで、製造業の海外直接投資を増やしたいという政府の意向がある。


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