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Last Update:2016/09/28
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第316回 中国人の結婚観

Chinese View of Marriage

(2016年9月28日)

  民政部が発表した「2015年社会服務発展統計公報」によると婚姻率は9‰であった。結婚登記をしたうち25〜29歳が全体の39.4%を占めた。一方、離婚届では384.1万組で対前年比5.6%増え、離婚率は2.8‰であった。結婚率は減少傾向を示しており、離婚率の伸びは大きくなっている(日本は、2015年の人口動態統計の年間推計によると婚姻率は5.1‰、離婚率は1.8‰である。)。離婚率について言えば、中国は世界で最も離婚率の高い国と言える。
  CEIC Dataによる関連数字を見ると、上述の趨勢が出現する原因が明らかになりそうである(New York Times 2016.09.23)。第一に、(1)世帯の平均人数の減少である。1982年には4.43人であったのが、2015年には3.1人に減少している。第二に、(2)女子大学生及び大学院生が2004年の44.2%から2014年には51.7%に増えていることである。第三に、(3)65歳以上の高齢者と15歳から64歳の労働人口の比率が、1982年の1:12.5から2014年には1:7.3になっていることである。第四に、(4)出生率が1982年の1,000人あたり22.28人から2014年には12.3人に減少していることである。
  この数字が報道されるとブログなどで多くのコメントがなされ、大きな反響があった。女性からのコメントが多そうだが、「他人(男性)に依存したくはなく、結婚は面倒だ」、「ある男性の亭主関白の程度は酷く、自分は保母になったようだ」、「女性の価値は結婚に体現されるのではなく、自活できないわけではない」、「父母のためでなければ結婚はしたくない」、「女性は自活でき、子供も産める。男性は必要ない」といったようなものである。
  日本の厚生労働省の「平成25年版厚生労働白書」は、「我が国では、かつては皆婚規範が強く、特別な理由がない限り人生の中で結婚することが当たり前とする意識が一般的だった。しかし、近年では高い年齢に至るまで未婚に留まる人々が増え、結婚を選択的行為として捉える見方が広まっていると考えられる。」と述べている。これと同じことが今の中国にも当てはまる。
  こうした趨勢は、経済発展、女性の社会進出、地位向上に伴って生じる事象であり、各国共通のことである。ただ、中国の場合には一人っ子政策の影響で、この事象の発現が急であり、大きいということがある。
  New York Timesは、中国経済への影響について、明らかではないが住宅購入や育児用品購入、装飾品などの消費が減り、消費主導の経済成長モデル影響があるかもしれないと指摘する。これに対して中国では、結婚したい男性が女性よりも多く、彼らが結婚相手を探すために住宅を購入するというような反対意見もある。また、独身の一人っ子が自分の両親を扶養する負担が大きくなりはしないかとの不安が述べられることもある。結婚、家庭の在り方、高齢化といった問題が、中国でかなり深刻な問題となりつつある。

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