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Last Update:2017/7/12
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第335回 “一帯一路”の新しい海外事業展開方式

(2017年7月12日)

  1997年12月の「外資工作会議」において、中国企業による(1)対外直接投資(M&Aを含む。)、(2)対外工事請負、(3)対外労務合作を強化するという“走出去”戦略が初めて提唱された。以来、今日まで中国の海外事業展開は、急速に発展してきた。この大きな牽引力となっているのが、外国企業の買収である。
  ところが、最近になって“走出去”戦略の見直しが行われ始めている。なぜならば、中国企業の外国企業買収などが必ずしもうまくいっていない、利益を出していないということがある。中国企業が国際コーポレート・ガバナンスに無知である、とりわけマーケティング及び信用リスク・マネジメントができていないということが大きな要因としてあげられる。
  そこで、銀行監督管理局は、2017年6月に中国企業が外国企業を買収するに際しての資金提供先である大手銀行などに対して、融資に際してプロジェクトの信用リスク調査をしっかり行うようにとの指示を出した。信用リスク調査の対象とされた企業は、海航集団、安邦集団、万達集団、復星集団、浙江羅森内里投資公司であると伝えられている(中国新聞網福建 2017年6月19日)。
  しかし、中国が“一帯一路”構想を進める上では、中国企業の“走出去”が不可欠である。では、今後、どのような“走出去”のあり方が考えられるのか。今後の中国企業の“走出去”戦略のあり方のモデルになるかも知れないのが「一帯一路創新(福建)発展集団」である。
  2017年6月18日に福建省福州市で中国平潭企業家科学家創新シンポジウムが開催された。このシンポジウムで脚光を浴びたのが「一帯一路創新(福建)発展集団」である。同集団は、中国企業連合会会員企業と福建省企業連合会会員企業が共同で設立されたものである。
  同集団は、全球華人華僑創新センターなどを通じて、スマート・シティ、グリーン・シティ、ヘルシー・シティなど産業の融合・結合した都市作りをし、投資のプラットフォームとなろうとしている。すでに46のプロジェクトを認可しているという。
  “一帯一路”構想の趣旨からすると、単に中国の一企業が進出するよりも、業種の異なる複数企業が一体となって、新しい都市建設を推進する方がふさわしいといえそうである。
  ただ、それでもなお異業種の企業が集まるだけで国際コーポレント・ガバナンス能力が備わるとは言えない。企業自身の学習、政府による教育などが必要である。この概念の中には、進出先国・地域において社会的責任(CSR)を果たすことも含まれる。

次回は7月26日(水)の更新予定です。

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