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Last Update:2018/1/10
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コラム『チャイナウォール』-中国人の法意識-

 第347回 2018年の中国経済の発展は消費で牽引

(2018年1月10日)

  世界の政治・経済面における中国の存在感はますます高まっている。中国は、“一帯一路”構想の実現によって、これをさらに強化しようとしている。そうであると国内経済も順調に成長させることが中国政府には要請される。2018年のGDP成長率の目標は、6.5%である。これを達成するために中国は、どのような経済成長方式を採るのだろうか。
  GDP=C+I+G+(X—M)の公式の中で、中国が2018年に重視するのは何か。中国「経済参考報」は、2018年の経済は投資と消費の両輪で成長を図ると言っている(経済参考報 2018年1月5日)。全てが重要な要素であるが、最も重点がおかれるのは、消費(C)の経済成長への貢献度を増やすことであろう。個人収入を増やし、消費の伸び率10%前後を達成したいというのが目標となっている。
  張瑜・民生証券研究院研究主幹は、消費のGDPに占める割合(寄与度)は、65%程度になっていると言う。この数字は、日本の60%を上回っている(米国は約70%)。2017年上半期の経済成長率6.8%のうち消費の寄与度は4.4〜4.5%、投資は2.2-2.3%、輸出は0.2%であった。
  消費を牽引しているのが、ネット通販などである。易観が発表した2017年7—9月期のスマートフォンを使った中国での決済金額は、前年同期比約3.3倍の29兆4959億元と急拡大した(商品の支払い決済以外にも、金融商品の購入や個人間のお金の貸し借りなども含む。日本経済新聞 2017年12月28日)。
  2018年もこの傾向に変わりはなさそうである。ただ、中国としては、消費の構造を変化させたいところである。中国銀行国際金融研究所の報告は、個人所得の伸びは鈍化してきており、年金などに対する不安が増しているところ、乗用車や住宅など高額商品などへの支出が鈍化傾向にあると指摘している。
  ネット通販で購入されている商品は、食品、衣類、化粧品、日用雑貨である。これをネット通販に限らず、高級品の購入やさらに教育、観光、医療などサービス分野への消費へと消費の構造変化、グレードアップが図れるかが2018年の課題となる。ところが、中国の商品には高級品になればなるほど品質に問題があり、サービスの悪さもしばしば指摘されている。
  なお、消費のみに依存する経済成長には危うさがある。今の中国では、消費の経済成長率に対する寄与度が65%というのは高すぎる。民間企業を発展させ、民間企業の固定資産投資を増やすことである。一方で共産党の企業に対する監督・管理強化という改革が行われている。これは、民間企業の活力を奪うことにならないか、気がかりである。

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