コラムに関する感想
お問い合わせ
LastupDate:2007/12/26
トップチャイナウォール
コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第104回 私営企業の対外取引犯罪の増加と多様化

(2007年12月26日)

  中国に進出している外資企業の多くにおいて、企業管理が不十分であり、企業経営の防衛意識が弱いという指摘がある。このために、外資企業が中国の取引先企業から騙されているという事件が増加している。中国の経済犯罪を増資するための法制度が不備であり、政府・司法関係機関による監督・管理体制の十分ではないという問題があるが、そうであれば、外資企業は一層の防衛意識を持ち、経営管理をしていく必要がある。
  最近、江蘇省昆山市において外資企業が、同市の不法な経営をしている取引先企業に騙され続けていたという事件が報道された(注1)。
  江蘇省は、中国全国でも私営企業が早くから発展してきている省として知られている。なかでも昆山市は、経済技術開発区が設置され、外資企業の進出も多く、この外資企業との取引関係のある企業や直接に対外貿易を行っている企業(渉外企業という。)が、私営企業を中心として2400社余ある。
  この昆山市の渉外企業において、今、経済犯罪が多発し、この犯罪も多様化していることが問題となっている
  ある外資企業は、昆山市の石油小売商から石油を購入していたが、石油備蓄倉庫の管理者が交代したときに納品されている量が、契約の6割にしか満たないことを発見した。石油小売商が、納品時に運送会社の担当者に毎回100元の袖の下を渡し、石油重量を大幅にごまかしていたのであった。外資企業が騙された金額は、120万元にものぼっていた。公安機関が出動する事件になったが、公安の調査によって、石油小売商は「危険化学品経営許可証」を偽造し、外資企業などとの取引をしていたことが判明した。そこで、全昆山市内で同様の調査をしたところ、20数社が無資格であったという。これら企業は、(1)経営許可証を偽造したり、(2)外資企業の担当者に賄賂を渡したり、(3)数量をごまかすという手段で取引をしていたという。この不法な取引額は2.52億元にものぼっていた。
  昆山市に進出しようと検討している外資企業に対して、外資企業誘致担当者と身分を偽って、外資企業から手付金、保証金、手数料を騙し取り取るという事件も発生している。昆山市公安局によると、犯罪に関与している者には、倉庫管理担当者、発注担当者、保安要員が多く、彼らが外部の犯罪者と結託して企業から原材料を盗み出したりすることが多く、また、企業内部においても経営責任者、会計係による会社資金の流用や窃盗が増えているという。
  日本企業の昆山市への進出は、中小企業が多い。中小企業の場合、日本人が常駐することは難しく、中国側に経営管理を委ねている場合が多い。このような場面で、日本企業が被害になっていることも少なくない。昆山市公安局は、外資企業が、中国の法や体制を十分に知らず、自己防衛意識も低いことにも問題があるという。

(注1)法制網http://www.legaldaily.com.cn/2007fycj/2007-12/14/content_762211.htm。原典は、張亦エイ(山+栄)嵘「昆山市新型経済犯罪多様化―一個案件往往渉及商業賄賂職務侵占等多種類型」法制日報 2007年12月14日


※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002-2007 OBC-China Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はOBC-Chinaの商標です。