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LastupDate:2004/3/24
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第12回 国際人権条約に対する理解度と憲法上の人権保障

(2004年3月24日執筆)


中国人の憲法意識(6)―国際人権条約に対する理解度と憲法上の人権保障


    中国は、1997年に「経済、社会と文化の国際条約」に加入し、1998年には「公民の権利および政治的権利に関する国際条約」に加入した。これら条約は国際人権法体系の中で重要な条約である。この条約において規定される権利は、憲法の基本的権利にかかわるものが多くある。
  中国において市民の享受できる権利の範囲は拡大し、権利意識も変化してきていると考えられる。実際上、市民に対する憲法の周知、国際人権に関する知識の普及活動は広がっているといえるだろうか。市民の理解度はどうなのだろうか(韓=王「中国公民憲法意識調査報告」『政法論壇』中国政法大学学報、2002年6期)。

   韓・王は、以下の設問をし、下図のとおりの回答結果を得ている。
  1. 設問 「中国が2001年に批准した国際人権条約は何ですか?」

    回答  (1)世界人権宣言、(2)公民の権利および政治的権利に関する国際条約、
    (3) 経済、社会と文化の国際条約、(4)こどもの権利に関する国際条約、(5)わからない


  2. 設問 「中国憲法に規定のない国際人権規定は何ですか?」

    回答 (1)言論の自由、(2)出版の自由、(3)人身の自由、(4)移動の自由、(5)わからない
 この調査結果からは、国際人権に対する認識、憲法における人権保障に対する認識が如何に低いかということがいえそうである。 なぜであろうか。2つの理由が考えられる。第一は、(1)中国は、国としては人権にかかわる国際条約に加入したものの、市民に対してはこれを積極的に知らしめることをしていないのではないかということである。第二は、(2)国際人権保障のレベルと中国の人権保障のレベルが一致しておらず、実際上、中国人の要求する人権保障とは適合していないからではないかということである。換言すれば、市民の意識が人権保障を求めるまでに高まっていないのではないかともいえる。




  経済的側面に対する権利意識は相当に高いといえそうだが、社会・文化・政治的側面では、無関心層が多そうである。
  今回の全国人民代表大会で憲法改正が議論されている。私的財産権の保障など経済的権利は一層強化されそうだが、これ以外の側面での進展はまだ先のようである。



次号の更新は4月14日(水)ころを予定しています。

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