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LastupDate:2004/2/10
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第九回 市民の基本的権利意識

(2004年2月10日執筆)


中国人の憲法意識(3)―市民の基本的権利意識


   市民の基本的権利意識とは、先進資本主義国では基本的人権と呼ばれるものである。しかし、中国では、「人権」という言葉が使われず、基本的権利と表記される。これは、中国における為政者の市民に対する人権保障が弱いことを意味するのか、市民の人権に対する意識が希薄であることを意味するのであろうか。

1 憲法における基本的権利の保障

憲法では、市民の基本的権利として、(1)平等権、(2)政治的権利(言論、出版、集会、結社、デモ行進、示威の自由)、(3)自由権(信教、人身、通信の自由)、(4)批判・建議・不服申立・告発・摘発・国家賠償請求)、(5)社会経済的権利(労働、休息、老齢年金の保障など)、(6)文化教育的権利、(7)女性・高齢者・児童の保護を規定している。

2 基本的権利に対する知識

   韓・王は、市民の基本的権利に対する知識がどの程度であるか把握するために、(1)選挙権・被選挙権、(2)憲法で規定する基本的権利・非基本的権利、および(3)基本的権利の変遷についてのアンケート調査を実施している(『政法論壇』中国政法大学学報、2002年6期)。
 設問および回答結果は、以下のとおりである。

<設問>
(1) 選挙権および被選挙権の法定年齢は何歳ですか?

    @16歳、 A18歳、 B21歳、 C23歳、 Dわからない

(2) 以下の権利のうち、憲法で規定されている基本的権利は何ですか?

    @著作権、 A債権、 B平等権、 C特許権、 Dわかわない

(3) 「人格の尊厳は侵されない」ことが憲法で規定されたのは、何年ですか?

    @1954年、 A1975年、 B1978年、 C1982年、 Dわからない


<回答結果>
図表1 回答の正解率

正解は、(1)−A、(2)―B、(3)−C(現行憲法38条)

図表2 職業別の正解率
  大学生 党機関職員 法律関係者 農民
設問1 97% 93% 90% 62%
設問2 95% 92% 96% 49%
設問3 24% 34% 49% 11%

  以上の結果からは、教育を受ける機会が少ないと考えられる農民の正解率が低いといえる。   設問3の「“人格の尊厳は侵されない”ことが憲法で規定されたのは、何年ですか?」に関しては、正解率が何れも50%に満たず、かなり低いといえる。人格尊厳の不可侵が憲法に規定されたのは、文化大革命期の暴挙に対する反省からである。以来四半世紀がたち、急速な経済成長を遂げ、拝金主義がまかり通るような中で、文化大革命の記憶は、老人の記憶のように風化しつつあるのだろうか。



次号の更新は2月25日(火)ころを予定しています。

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