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(2009年3月11日)
2009年3月に中華全国総工会(中国の労働組合の全国組織)は、「“共同約定行動”をさらに一層推進することに関する意見」(以下、「“共同約定行動”意見」という。)を発布した(中国工会網 http://news.workercn.cn/contentfile/2009/03/05/071707928311621.html)。 共同約定行動とは、経済が不景気であるところ、内需拡大、産業構造調整、和諧促進のために労使共同で困難に立ち向かい、就業および賃金を確保し、企業の競争力を向上させ、共に繁栄する道を探るための行動をとろうというものである。 この意見では、共同約定行動の基本をなすものは、労働契約法に基づいて定められた労働契約、労働協約(集団契約)の規定を特別の客観的事情の変化がない限りにおいて堅持して、労使双方の共通の利益を確保しようというものである。このために、企業は労働組合・従業員代表の意見を聴取し、従業員の意見を反映して、協議、約定をすることを強調する。 今日の経済不況の下において広東省における従業員のリストラが最も多い。このときに企業が適正な処理手続をしていないことから、労働紛争の発生も少なくない。このような問題に対処するために広東省労働・社会保障庁は、2008年12月8日に「企業のリストラ、休業、倒産およびこれに伴う従業員の関連手続業務マニュアルに関する通知」(中国語では、「関于印発企業裁員、停産、倒閉及職工後続処理工作指引的通知」という。以下、「マニュアル」という。)を発布した。 広東省労働・社会保障庁は、企業は極力労働者の解雇を避けるようにというが、これがどうしても避けられない場合には、企業はこのマニュアルに従って、諸手続をするようにとし、同時に企業、労働者および社会各界は周知するようにと述べている。 このマニュアルにおいてリストラとは、企業が一度に20人以上の従業員を解雇するか、または20人以下であっても従業員総数の10%以上の従業員を解雇する場合のことをいう。 この場合、企業は、法に従ってリストラを行い、極力大規模なリストラを避けまたは減らすようにしなければならない。リストラ手続の流れは、@企業がリストラ条件を決定した後、A従業員への事情説明およびリストラ計画案の準備をし、B労働組合の意見聴取をし、C全従業員大会を招集し、その後にDリストラ計画の修正・完成をする。 リストラの対象とする従業員については、企業の従業員総数、従業員の労働の性質、入社時期、労働契約の内容、対象従業員の当該企業における勤続年数、家庭の経済事情(従業員の家庭にその他の就業者がおらず、老人または未成年を扶養する必要のある従業員はリストラしてはならない。)、傷病経歴、対象従業員の給与水準などを考慮し、選定しなければならないとも定められている。 前述の“共同約定行動”意見では、共同約定行動をするという点において、必ず農民工を支援する行動もとらなければならず、従業員の権利を保護しなければならないということも述べられている。マニュアルで強調されていることも労働組合や従業員の意見をよく聞くということである。 和諧社会を築く上で、労使コミュニケーションが重視されているということがいえるだろう。
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