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LastupDate:2004/4/28
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第14回 市民の憲法施行状況に対する評価その2

(2004年4月28日執筆)


中国人の憲法意識(8)―市民の憲法施行状況に対する評価その2


     前回に叙述したとおり、2004年3月の全国人民代表大会において、憲法が改正された。憲法改正は、十分であったといえるか。一般市民にしてみれば、韓大元と王徳志の調査から見られるとおり(韓=王「中国公民憲法意識調査報告」『政法論壇』中国政法大学学報、2002年6期)、必ずしも高い憲法に対する意識があるといえる訳ではないが、それでもなお現行憲法に対する意見や要求がないわけではない。
   そこで、中国人の憲法意識を検討する最終回として、一般市民は、どのような点において憲法改正の必要性を感じているのかについて見ることとする。

   韓・王は、以下の設問をし、下図のとおりの回答結果を得ている。  

  <設問>  

   今後憲法を改正するとしたら、最も重要な改正して欲しい部分は何でしょう。以下の中から上位3つを選んで下さい。

   (1)人民代表大会制度、(2)政党制度、(3)経済制度、(4)選挙制度、(5)基層住民自治制度、

   (6)基本的権利制度、(7)憲法監視制度、(8)精神文明制度、(9)司法制度、(10)その他

   <回答>

  第一位 第二位 第三位 合計
人民代表大会制度 11% 5% 4% 20%
政党制度 15% 10% 6% 31%
経済制度 12% 6% 7% 25%
選挙制度 13% 15% 11% 39%
基層住民自治制度 4% 7% 8% 19%
基本的権利保護 7% 10% 15% 32%
憲法監視制度 18% 16% 13% 47%
精神文明建設 2% 4% 10% 16%
司法制度 10% 15% 17% 42%


 以上の結果から、最も関心が高く憲法改正の要求が強いのは、(1)憲法監視制度(47%)、(2)司法制度(42%)、(3)選挙制度(39%)、(4)基本的権利保護(32%)、(5)政党制度(31%)の順番である。
   それぞれの項目について、なぜ改正の要求があるのだろうか。韓=王の調査では、この点に関しては質問されていない。また、憲法監視制度、司法制度、選挙制度、基本的権利保護、政党制度などというときに想像される内容についても定義されていないので、回答者により意識も異なることがあるだろう。
   憲法監視に対する不満が生じるのは、市民や社会的組織にこの権限がないということなのか。司法制度に関する不満は、制度に内在する問題なのか、司法の独立に関する問題なのか、またはこの運用を行う機関や人の腐敗の問題なのか。選挙制度に関する不満とは、前回述べたように必ずしも普通選挙制度が確立されていないことへの不満か。基本的権利保護とは、如何なる権利を要求し、どのような保護を要請するものなのか。政党制度に関しては、執政党と国家権力の関係に言及されるような問題なのか。
   現時点において、この問題に対する回答はなし得ないが、何れも今後の中国の方向性を占う上で、非常に大きな問題であるといえる。



次号の更新は5月12日(水)ころを予定しています。

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