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(2009年7月22日)
国務院反独占(反壟断)委員会は、2009年5月24日に「関連市場の範囲を定めることに関するガイドライン(関于相関市場界定的指南)」(以下、「ガイドライン」という。)を制定し、このほどこのガイドラインが公表された。 2009年3月18日に商務部は、コカ・コーラ社による匯源公司(本社:北京市)の買収計画を認容しない決定を下した。このとき、商務部は独占禁止法に基づき判断を下した訳であるが、この判断基準は必ずしも明らかではなかった(参考:本コラム第134回、「コカ・コーラによる匯源公司の買収否決」2009年3月25日)。 このたびの国務院が制定したガイドラインによって、関連市場の概念が明らかになり、企業のM&Aについて、公正、公平、かつ透明度の高い判断がなされることになるであろうか。 ガイドラインは、全11条からなる。関連市場とは、経営者が一定期間内に特定の商品またはサービス(以下、「商品」という。)に関して競争をする商品の範囲(これを「関連商品市場」という。)および地域の範囲(これを「関連地域市場」という。)のことをいう(ガイドライン3条1項。以下、括弧内に示す条文は、いずれもガイドラインの条文である。) 関連商品市場は、商品の特性、用途および価格などの要素に基づき、ユーザーが密接な代替性があると考える商品により構成される市場をいう(3条2項)。関連地域市場とは、ユーザーが密接な代替性があると考える商品の地理的な範囲をいう(3条3項)。 このとき、では代替性の有無はどのように判断されるのかということが問題となる。この点についてガイドラインは、代替性について需要および供給の両面から代替性を分析しようとしている(2章4〜6条)。この代替性について分析・検討した上で、関連市場を認定する一般的な方法を示す(3章7〜9条)。例えば、関連地域に関しては、地域間の取引障壁として、国内取引に関する地方の特別取引税、地方性法規、環境保護、技術などの要素も検討対象とするとしている(9条1項4号)。 独占事業者と認定する場合の一般的な判断基準としては(4章10、11条)、当該事業者が(1)関連商品市場においては、関連商品の販売条件が不変であるという条件下で、当該商品の価格を1年間は5〜10%の範囲内で維持できるか否か、ユーザーが代替商品を購入した場合において当該事業者の売り上げが減少するか否かなどにより関連商品市場が維持されるか否かを判断し、(2)関連地域市場においては、当該事業者がターゲットとする地域外の販売条件が不変であるという条件下で、上記の商品市場と同様の要件で関連地域市場が維持されるか否かを判断する。 商務部が、コカ・コーラ社による匯源公司買収を否決したときにも、上記のような分析・検討が行われたのかも知れない。また、このときの経験によりガイドラインが制定されたのであろうかとも想像される。それでもなお、このガイドラインは全11条と極めて簡単なものである。今後、さらに業種別のより具体的、かつ明確な独占禁止ガイドラインの制定が必要であるといえよう。
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