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LastupDate:2009/9/9
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第146回 贈収賄事件の増加

(2009年9月9日)

  最高人民検察院反汚職・賄賂総局は、このほど今年1−6月の商業賄賂などに関する統計数字を発表した(新華社、2009年9月3日)。
  全国の検察機関は、2009年上半期には建設工事、土地譲渡、所有権取引、および商業保険、銀行クレジットなどの分野を重点に商業賄賂に関する取り締まり、犯罪の立件を行ってきた。
  その結果、全国の検察機関が立件した商業賄賂事件は6,277件、6,842人にのぼり、この事件にかかわる金額は約9.18億元であった。すでに公訴提起されているものが1,946件あり、うち1,882件については有罪判決が下されている。
  また、商業賄賂事件に関しては、5万元以上の事件が4,759件と全体の75.82%を占め、その賄賂の金額が大きくなっていることも明らかになっている。50万元以上の事件も556件にのぼる。
  収賄が多くなっていることも最近の特徴である。収賄事件が4,849件と全体の77.25%を占め、贈賄は1,197件、19.07%である。
  最高人民検察院は、2009年6月に「最高人民検察院の贈賄犯罪捜査に関する暫定規定」(2006年制定)を改正した。新しい規定は9月1日から施行される。重要な改正箇所は、旧規定では立件する事件の範囲が限定されていたところ、この範囲に関する制約を撤廃し、建設、金融、医薬衛生、教育、政府買付といった5分野にも拡大したことである。
  建設分野においては、中央政府がすでに発布している「建設工事分野の際立った問題を専門的に統治する業務を展開することに関する意見」に基づき取り締まりが行われているが、1−6月に都市建設分野にかかわる商業賄賂犯罪事件が2,495件あり、関与した人数は2,724人にのぼっている。実に商業賄賂事件のうちの39.75%を占めている。。自然災害後の復興建設にからみ、国家公務員が行政審査権を利用して賄賂を要求するなどの行為が少なくないことが原因である。
  上記の暫定規定の改正、施行により、商業賄賂として捜査対象とされる範囲が拡大されれば、立件される事件数はさらに増加することが予測される。公正、公平な商取引を実行し、正常な経済成長を維持し、民生を保護し、安定を保つには必要な措置である。公正、公平な商取引慣行が形成されれば、外国企業にとっては商取引に関する予測(コスト予測も含めて)が立てやすくなり、中国政府としては、外国企業の対中投資が増えることにもなるという効果も期待できる。


次回は9月24日(木)の更新予定です。

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