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LastupDate:2009/12/21
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第153回 所得格差の拡大に怒り

(2009年12月22日)

  最近、所得格差の拡大について実施されたアンケート調査で、96%の市民が怒りを感じ、70%が貧富の格差が拡大していると感じているということが分かった(China Daily 2009年12月10日)。
  この調査は、浙江社会科学院が実施した。公務員、経営者、農民など各種のクラスターに対して実施され、1,159人の有効回答があった。
  上海大学のQiu Liping教授は、「貧富の格差の拡大は、中国にとって深刻な問題である。」という。調査では、所得格差が拡大していると感じる者が、48%もいた。
  ただ、市民が怒りを覚えているのは、富裕層の存在自体ではなく、不法または非道徳な手段で金稼ぎをしている者がいることである。現実には、富裕層は、いずれもこのような類の人間であると見られるようである。上海の富裕層向け雑誌の編集長である女性は、ポルシェに乗っているが、2週間内に3回も故意に愛車に傷がつけられた経験があるという。
  都市と農村の所得格差ということでは、中国は、世界でも最も不平等な国であるということがいえようか。
  では、所得格差を縮小するにはどうすればよいか。豊かになれるためのチャンスを農民にも与えるようにするのが公平な措置である。このためには、労働市場を自由化し、社会保障制度を統一するといった公共サービスのネットワークを形成する必要がある。
  現在、中国の都市化率は45.68%にまで増えている。国家統計局の予測では、2050年には中国の全人口の70%が都市に居住するようになるとしている。
  米国のタイム誌は、2009年の人に「中国人労働者」を選んだ。中国経済が8%の成長率を維持したのは、ひとえに労働者の働きによるとの評価である。中国総工会は、このような評価を受けたことは、総工会が労働者を指導し、労働者が主人公としての精神を持って働いたが故であり、労働者にとっての誉れであるという。
  その通りであろうか。労働者の働きによって、中国経済は成長しているが、この富が労働者には還元されているとは言えず、富が偏在していることに対して、労働者は不公平感を感じている。


(出所)China Daily 2009年12月10日

次回は1月13日(水)の更新予定です。

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