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LastupDate:2010/2/10
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第156回 中国の政治経済体制と社会主義法

(2010年2月10日)

  中国憲法1条は、「中華人民共和国は、労働者階級が指導する、労農同盟を基礎とした人民民主主義独裁の社会主義国家である。」と規定している。これが中国の国体ということになる。
  この国を管理する政体として、人民代表大会がある。中華人民共和国の全ての権力は人民に属し、人民は法律の規定に従い、各種の方法及び形式を通じて国家の事務を管理し、経済及び文化事業を管理し、社会主義の事務を管理するが、人民は、全国人民代表大会を通じて国家権力を行使する(憲法2条)。
  中国は、三権分立制度を採用していない。それは、中国の国情に合わないからであるという。なぜなら、中国は人民が各級人民代表大会を通じて統一的に国家権力を行使し、国家行政機関、司法機関および検察機関は、相対的に立法機関に従属する地位になるからである。また、中国共産党が国の指導機関であるという根本原則もある。このような制度は、人民が選択したものであり、憲法により確定された根本原則になっている。
  計画経済条件の下では、国と社会は緊密に結合し、両者の一体化の程度は非常に高い。工場、学校、病院など企業、事業団体およびその他の社会組織も実際には国の機関の延長線上にあたる。個人と組織、組織と国の間には、従属・管理関係があり、国は法律による授権を必要とせず、組織内部の管理関係によって個人と社会組織の行為を規律し、個人と社会組織に対する管理を実行する。
  計画経済のモデルの下では、組織と個人の職責は、国家計画と命令を執行することであり、「計画とは法律」であって、経済発展目標は組織や個人の自主的行為によって実現されるものではない。計画経済モデルは、権力が高度に集中するモデルで、計画に対して司法の介入する可能性は排除されていた。
  中国の市場経済は、計画経済の枠組みの中で市場調節と補助作用を発揮し、計画のある商品経済という名目の下で発展してきた。
  計画経済に対して市場経済は、個人、社会組織の自主性の発揮により国家経済と社会の発展目標を実現する。この点において、個人と組織は独立、平等な市場主体であり、個人、組織が自らの利益を追求することを認め、国の規整する範囲内において自由に活動することが保障される。このような状況下においては、計画、とりわけ指令性の計画が絶対的な規範となることはない。
  市場経済における国家統治メカニズムには、民主と法治が求められる。市場経済においては、個人および組織は国に従属することはなくなり、国と政府が個人、組織と上下関係にあるということはなくなる。
  市場経済の下では、法律がなければ、国は社会に対して管理をすることができなく、また法律がなければ、個人と組織の権利と自由も保障されることはない。法律と法治は、市場経済が存在し、発展するための基礎であり、前提である。
  中国の社会主義法は、まだ必ずしも市場社会の法であるとは言えない側面があり、市場経済化とともに発展過程であるといえようか。


次回は2月24日(水)の更新予定です。

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