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LastupDate:2010/3/1
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第157回 味の素(中国)有限公司の地元に根ざすCSR

(2010年3月1日)

  四川大地震以降、味の素(中国)有限公司の地元に根ざしたCSR活動が、地域住民、ボランティア団体およびその賛同者(ボランティアに参加する大学生ら)、同社の中国人従業員らから大きく評価されている。
  四川大地震のとき、日本の味の素グループ労働組合が罹災地住民を支援しようと日本国内で募金をし、従業員から480万円の援助が得られた。これを上海のNGO「上海市閘北区熱愛花園青年社区志願者協会」(弁護士、医者などが主なメンバーとして活動)に寄附し、震源地から3キロ離れた山村「都江堰龍池鎮」の支援に使用することを決定した。3年間掛けて図書室を作り、本を購入し、子供たちに勉強を教える。コンピュータ教室も行う。味の素(中国)有限公司では、従業員代表大会にはかって、従業員の代表を支援に派遣することもした。この活動が大きく実を結んでいる。2009年の活動を紹介する。
  2009年には70回余の各種復興支援活動が行われ、5000人余が受益したと「熱愛花園」はいう。具体的な活動は、次のとおりである。
  元旦節、元宵節、五一節、夏休み、国慶節、などのときに数十人の味の素中国の従業員や上海の大学生らボランティアが龍池鎮に行き、読書会、パソコン教室、健康体操などの活動をし、定期的に龍池鎮、村の指導者らとの交流が行われるようになった。地元の環境保護活動に対する支援も行っている。
  図書館の開放は、毎週土日に行われ多くの児童が読書に親しんでいる。蔵書数は2000冊以上になり、貸出件数は1800冊以上で「図書の星」として表彰された。
  四川農業大学都江堰校区志願者協会とも協力関係が形成され、地元のボランティアも熱愛花園の活動に参加するようになった。夏のキャンプには、熱愛花園と中国緑色大学生、上海大学数学学院が参加し、龍池鎮だけでなく周辺の村からも児童500人が集まり世代を超えた交流が行われている。
  今では四川農業大学の学生は、村に毎週行き、就学前の児童に対して文字を教えたり、読書会を開いたりの活動をしている。
  地元の経済復興支援として、とりわけ特産物の開発に尽力している。2009年には「獼猴桃」(キウイ)の栽培技術指導を地元農民に対して実施した。
  都江堰龍池鎮には、天官節という400年の伝統のある地元の祭りがある。このような民間文化遺産が、大地震によって途絶えることのないように支援をし、2009年には周辺の村からも3000人の参加があった。また、新たに女子龍灯隊を結成し、その活動支援を行っている。
  健康管理ということに関しては、医師のボランティアが事故発生時の救護活動、救急医療を村民に指導し、また、通常時の健康管理、とりわけ老人の健康管理に関心を注ぐ活動を展開している。村民運動会なども地域住民の団結心を向上させる上で有効であるという。
  以上のような活動が「解放日報」などメディアで取り上げられることもある。ただ、この場合、熱愛花園の活動として取り上げられ、味の素の社名は必ずしも報道されるわけではない。味の素グループのCSRレポートにも取り上げられていない。
  それでも地元住民、熱愛花園からの味の素に対する感謝、評価は高い。味の素の中国人従業員が率先してボランティアに行く。中国に駐在している日本人社員も手を挙げる者が多いという。
  知られない味の素のCSR活動であるが、このような地元に根ざした活動こそが、真に評価され、グローバル企業に求められる活動のではないだろうか。


次回は3月10日(水)の更新予定です。

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