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LastupDate:2010/9/8
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第170回 中国の特色ある社会主義法体系とは何か

(2010年9月8日)

  2010年8月29日、北京において「中国の特色ある社会主義法体系座談会」が開催された。この座談会は、全国人民代表大会(全 人代)法律委員会の主催で最高人民法院、最高人民検察院、司法部、国務院法制弁公室、中央軍事委員会法制局、各省市区人民代表大会常務委員会、学者らが参 加して開催された。
  改革開放以来30年以上が経ち、中国の法体系が随分と変化してきたが、中国の特色ある社会主義法体系とは一体如何なるものであるのか、これからどのような方向に進もうとするのか。座談会において、この点についての基本原則が語られている。
  現在、憲法のほかに有効な法律が235件、行政法規690件、地方性法規8800余件、自治条例および単行条例700余件が存在する。これらが中国の特色ある社会主義法体系を形成しているわけであるが、どのような法の形成基準があるのか。
  全人代法律委員会主任委員の胡康生は、中国共産党の指導を堅持し、人民を主人とし、法により国を有機的に統一すること が、法体系を作る場合の考え方の基本であると言う。中国は、労働者階級が指導し、労働者・農民同盟を基礎とする人民民主専政の社会主義国である。人民の基 本的権利・利益を守ることを優先し、このために党が人民の意思を代表して、公有制を主体としつつも各種の所有制が併存する経済共同体の発展を図るための立 法をしようということである。
  こうした原則を堅持しながら法体系を作っていく上での課題として、次の問題がありそうである。
  (1)改革開放を推進する上でも、上記の概念が法体系を形成する場合の基本になる。ただし、現時点では社会主義の初級段階にある。このとき工業化、情報化、都市化、市場化、国際化が同時に、急速に進展しているので法律整備も難しさがある。
  (2)地方性法規が多いのも、多民族国家であり、広大な地方の経済の発展レベルの違いから、必ずしも全国で統一的な法規 を定めることが難しいという事情があるからである。このために国レベルの法律においては、強行的な規定としての「規範性条項」は少なく、原則方針を述べる 内容が多く、地方に裁量を委ねる規定が多くなっている。
  (3)国際条約が法体系の中で如何なる位置を占めるのかについても定かでないことがある。国際条約が地方の利益のために守られないということも少なからず存在していることは周知のとおりであろうか。
   以上の課題を抱えながら法体系を整備していくことになるが、実践、経験を積み重ねて体系を整備して行くしかない。最近多発して問題になった労 働争議については、日本においても正当な争議行為と不正当な争議行為の判断基準は、判例の積み重ねによって明確にされてきた。今、中国は、この経験を積み 重ねようとする段階にある。先進資本主義国のような法体系が形成されるには、まだまだ時間がかかる。

      

  「あなたには、90年代生まれの若者(90后)は理解できない」
  中国の高級ブランドを着るホワイトカラーとその広告の前で安物のバッグやおもちゃを売る低所得層。その所得格差は数十倍ないし百数十倍にもなる。

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