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(2010年10月13日)
10月15日から18日までの4日間、中国共産党第17期中央委員会第5回会議(5中全会)が開催される。この会議において第12次5カ年計画(2011年から2015年)の全体像もある程度明らかになる。12・5計画の主たる方向性について予測する。 12・5計画では、これまでの外需依存型経済から内需拡大による持続的成長を図ることを目標とする。この場合、経済成長は従来ほど高い目標を掲げず、むしろバランスのとれた経済を実現しようとする。具体的には、7%強の経済成長率が指標となりそうだ。 国家信息中心(国家情報センター)の主席エコノミスト祝宝良は、8%以下で良いだろうという。11・5計画では7.5%の経済成長率を目標としていたが、現実には11.4%の高成長を遂げた。これは、高すぎ、バブルになりかねないという懸念がある。12・5計画では、消費者物価指数は5%程度の伸びを示しそうであるという。この5%という数字は、受忍限度内であるというが、高い経済成長率が維持されると、消費者物価指数ももっと高くなる懸念がある。 バランスのとれた経済ということでは、個人の所得を伸ばすことであり、とりわけ一般労働者の所得向上により、所得格差を少なくすることが課題となる。 中国の個人所得のGDPに占める割合は、42%程度しかない。先進資本主義国より数10%少ない水準である。経済成長を遂げて来た中国だが、この収益が企業に蓄積されている。労働者には還元されていないではないかという意識が、労働争議の原因にもなっている。 所得格差を少なくするということに関しては、産業構造の調整、産業の高度化が必要となる。 2010年の外資導入政策について年初に予測をしたが、12・5計画においてもこの方向性は変わらない。すなわち、ハイエンド、ハイテク、新エネルギー、省エネルギー、環境保護、サービス業などの分野が振興される。ここでいうサービス業は、製造業の発展をサポートする金融、物流、IT、情報、研究・開発、工業デザイン、ビジネス、省エネ・環境保護などの分野のものである。サービス業の発展は、就労機会の拡大としても有効であり、都市化比率を向上させることにもなる。経済活性化のために、中小企業の発展を促すということも重要な戦略となる。
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