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(2010年11月24日)
2010年11月2日に四川大地震の被害地である龍池鎮を上海市閘北区熱愛家園青年社区志願者協会の陳佩さん(四川省社会科学院の大学院生)の案内で訪問した。 以前のこの被災地に対して、日本の味の素グループ労働組合が罹災地住民を支援しようと日本国内で募金をし、従業員から集 まった480万円を上海のNGO「上海市閘北区熱愛花園青年社区志願者協会」に寄附し、龍池鎮に図書室を作り、子供たちに勉強を教える支援活動を始めたこ とを紹介した。 チャンスがあれば、実際に訪問してみたいと考えていたが、11月初旬に成都、重慶、西安の投資環境調査をする機会があったので、この際に龍池鎮を訪問した。 以下、簡単ではあるが、上海市閘北区熱愛家園青年社区志願者協会(以下、「熱愛家園」という。)の龍池鎮における活動を紹介する。 上海市閘北区熱愛家園青年社区志願者協会は、2000年に設立され、2004年に正式に登録された。主に法律、環境保護、教育などに関して市民とともに活動することを目標としている。 龍池鎮は、四川省都江堰市の西北17キロの青蔵高原の山間部に位置し、四川大地震の際に重大な被害を受けた地区である。 死者36名、不明者17名、負傷者1621名、家屋倒壊件数6555件、森林損害61.5万株、農林業の経済損害3330万元の被害があった。 そこに熱愛家園が、震災後に地元政府、村民その他の支援団体とともに経済、文化、教育、健康の再建プログラムを実施し始めた。 熱愛家園では、毎年、少なくとも元旦、天官節(1月16日)、労働節、夏期休暇、国慶節のときにボランティアを組織して 龍池鎮を訪問し、各種活動を行っている。毎回8人から10人程度が訪問。2010年の夏期休暇期間中には、大学生500人が参加したという。 天官節は、龍池鎮で400年の歴史のある伝統文化であるが、震災後に人手、資金が足りず、また高齢者の体力低下で開催をあきらめかけていたが、ボランティアの支援により伝統行事が継続された。 龍池鎮には、熱愛家園の呼びかけもあり、四川農業大学都江堰校区青年志願者協学校会、西南財経大学情報管理学院も小中学 生に対するパソコン指導などのボランティア活動をし、四川大学公共管理学院青年志願者隊は、2010年4月に高齢者に対する調査高齢者向けの支援活動をし ている。また、経済復興のため、農業専門家を招聘して「猕猴桃」の栽培技術指導を受け、2010年に収穫、出荷されるに至っている。 龍池鎮の小中学生を上海に招待することも行っている。味の素が支援して作られた図書室は、2009年1月から正式にスタートし、1年余の間に図書の貸し出し数は1800冊に上ったという。 龍池鎮で元の建物が残っているところはほとんどない。現在でもなお倒壊した建物がそのままになっているところもある。住民は、政府が新たに立てたアパートに移り住み、小学校も建て替えられている。地震の専門家が今でも常駐し、調査が行われている。 陳佩さんには、ほとんどすべての住民が声をかけてくる。それだけ親しまれている。まだまだ復興途上であることには間違いがないが、住民には笑顔も見られる。市場もにぎわっていた。 中国人学生の意識が、経済成長一辺倒から福祉社会へと覚醒してきているようにも思われる。NGOの活動も徐々に認知されるようになってきたのだろう。
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