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Last Update:2011/2/9
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第180回 カルフール:商品価格詐欺で処罰

(2011年2月9日)

  市場経済体制を形成し、維持する上で、価格競争メカニズムを機能させることは最も肝要な問題である。このとき不正な競争を防止しなければならない。国は、これを機能させるために法律によって規律する。企業は、しっかりとしたコンプライアンス経営をし、従業員教育をしてくことが不可欠である。
  最近伝えられたカルフールの商品価格詐欺事件がある。カルフールの商品価格詐欺事件とは、次のようなものである。
  国家発展改革委員会は、カルフールが商品価格表示に際して、実際には存在しない複数の価格があるように見せかけて、これを安売りするという手法で消費者を欺いていたとして、不法所得の5倍の罰金、または不法所得額が計算できない場合には最高50万元の罰金に処する決定をした(中国法院網 2011年1月26日)。
  国家発展改革委員会価格検査局の調査によると、全国各地で以下のような手法による商品販売手法がとられていたと言う。
  例えば、長春市新民店は、男性用下着を販売するときに「原価1着169元をセールス価格50.7元」として販促していたが、実際の原価は119元であったという。上海市南翔店では、36.8元と価格を付けていた急須をレジで49元として販売する等の行為が行われており、他の商品でも同様のことを行っていた。昆明市世紀城店では、フカヒレ1袋138元のものを価格表示に際して13の文字を大きくし、8.0を小さく表示して、消費者が1袋13.80元と誤認するようにさせていた。
  このような事例は、上記の店舗で複数鵜の商品について見られただけでなく、さらにカルフールの全国の店舗で同様の商品価格詐欺行為が普遍的に存在していたと言う。
  国家発展改革委員会は、カルフールのこのような商品の販売行為は、価格法に違反する行為であるとして処罰する一方、このような事件があったことを受けて、カルフールだけでなく、その他の全国のスーパー、デパートなどにおいても一斉調査するように指示を出した。
  小規模な小売店では、このような詐欺行為は少なくなく見られるが、カルフールのような多国籍企業において、しかも全国規模で見られたということで多くの専門家が驚きを示している。
  このような問題が発生した原因はどこにあるのか。中国の市場体制自体にそもそも内在する問題なのか、ここの企業行為のモラルに関する問題なのか。この原因を究明する必要がありそうである。
  かかる行為は、価格法および小売商の販売促進行為管理弁法に違反する行為である。また、消費者は消費者権益保護法に基づき、小売店に損害賠償を請求することができる。しかし、罰則規定は不十分であるという指摘がある。企業に対する懲罰制度をもっと厳しくする必要があることも指摘されている。
  一方、この事件を教訓として、企業は、不正をしない誠実な経営をしなければならず、このために従業員に対しする企業法務教育をする必要があり、さらに人事労務管理、人事考課体制等についても検討する必要がある。

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