第11期全国人民代表大会第4回会議を開催中の中国で、インターネットのコントロールや検査がかなり厳しく行われている。現在、中国政府にとってソーシャルメディアへの対応は、最も重要な問題の1つと言っていい。4億2000万人いると言われるインタネット・ユーザーが、様々な情報を交換している。情報の事前審査、フィルータリングが行われている。
完全に生活の一部となったインターネット、ソーシャル・メディアの中国における影響力は、現時点においてどのように評価できるのであろうか。
ボストン・コンサルティングによると、中国のインターネット・ユーザーのインターネット利用時間は1日平均2.7時間と日米と同じ水準にあるという(Thomas Crampton, Social Media in China: The Same, but Different, China Business Review, January-March 2011)。
ツイッターやフェイスブックに類似したモバイル・インターネットがある。例えば、豆瓣(www.douban.com)、開心網(www.kaixin001.com)、空間(http://qzone.qq.com)、人人網(www.renren.com)などがある。何れも大学生やホワイトカラーの会社員といった若者に多く利用されており、大都市だけでなく、中都市でもユーザーが増えている、
ツイッター同様に短いメッセージが送れるシステムなので、ユーザーは、主に仲間同士の写真やビデオの投稿、メッセージの伝達、音楽のダウンドード、オンラインゲーム、映画や商品情報の評価、交換などに利用している。
そこで、今、中国におけるインターネット利用は、"information superhighway"からより"entertainment superhighway" になっていると指摘される(Kaiser Kuo, Blogs, Bulletin Boards, and Business, China Business Review, January-February 2009)。
こうした状況の中で、モバイル・インターネットをマーケティングに利用している企業も増えている。
ただ、気をつけなければならないのは、企業の商品やサービスに不満を持った消費者が、時に掲示板などで誹謗中傷を行ったり、消費者で企業にデモを仕掛けようといった呼び掛けがなされることもあることである。
2008年の四川大地震の際に米国女優のシャロン・ストーンが、チベット問題への中国当局の対応と四川大地震の発生を関連付ける発言をしたことを受け、反発した中国メディアは、今後、紙面や画面からストーンさんの名前を「永久に封殺し、駆逐する」とする声明を発表した。この際、シャロン・ストーンをCMに起用していたクリスチャンディオールもインターネット上で一般市民から非難の対象となり、同社も謝罪するという事件があった。
今、モバイル・インターネット・ユーザーは、世界で何が行われているのかを知る手立てとして利用し始めている。"entertainment superhighway"からさらに深化した"information superhighway"になってきているのではないだろうか。