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(2011年3月23日)
震災で亡くなられた皆様のご冥福を心よりお祈り申し上げるとともに、被災した皆様にお見舞いを申し上げます。 東北地方太平洋沖地震が発生してから1週間以上が経つ。この間、中国の友人から安否を気遣う電話やメールをいただき、震災で亡くなられた方々に対するお悔やみ、被災者に対するお見舞いの言葉をいただいている。 一般中国人市民の間でも、日中間の歴史問題などあるものの、この度の東日本大震災に遭われた人々に対する同情は禁じ得ないという。 インターネットでも日本の被災地にエールを送る声があり、震災後にガソリンや食料品を購入したり、被災地で食料の供給を受ける際に何の混乱もなく、秩序だった行動をする日本人を評価する声が多くある。 震災があったことをいいきみだという声もあるが、かかる書き込みに対しては、これを批判する者が多い。 全人代の閉幕日に温家宝首相は、日本人に対する哀悼の意を表明し、日本に対する物資支援を申し出た。そして、日本政府の要請に応じて、ガソリンとディーゼル油を各1万トンが無償で提供されることになった。民間企業からの支援もある。中国石油天然ガス集団公司は、震災支援のために20万トン余の製品油を提供することを表明した。 ただ、震災から1週間たった今も福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の外部への放出という事態を収束できない現状について、その危機管理のあり方に対する批評が出てきている。 中国の新聞などが、フィナンシャルタイムズ、ワシントンポスト、ニューヨークタイムズなど世界のメディアが「危機的な状況であるにもかかわらず、日本政府がいかにも落ち着いた発言をし、情報を十分に公表していないのではないかという評価をするようになり、これは日本政府の曖昧で淡白な危機管理の伝統なのだろうか」と評し、日本政府の対応に失望しつつあるということを報じている。 韓国の朝鮮日報が、日本はマニュアル社会であり、マニュアル通りでないと行動できず、従って、マニュアルで想定していないことが生じた場合には臨機応変の迅速な行動をとることができないのだということ言っているという記事も見られる。 中国外務省スポークスマンは、3月17日のプレス・リリースで、日本政府は、速やかに、かつ正確に現状を対外的に公表し、および今後の情勢の評価と見通しをするように要求した。 この度のような大事故は、ただ一国の問題にはとどまらない。しかし、現時点においてかかる事故が発生した場合の国際協力のシステムは存在しない。情報の公開、交換はもとより、事故対策に関する国際協力体制を構築することも必要であると考える。
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