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Last Update:2011/9/14
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第194回 6から7割の中小企業が経営困難

(2011年9月14日)

  中国において中小企業の経済に占める重要性が高いことは周知の通りである。中国企業の99%が中小企業であり、国内総生産(GDP)の約60%、税収の約50%を占めていると言われる。
  その中小企業の6〜7割が重大な経営難に苦しんでいることが、8月29日に四川省成都で開幕した「2011年APEC中小企業サミット」の席上、工業・情報化部(工業和信息化部;工業発展戦略,産業政策を策定し、実施する政府機関。以下、「工信部」という。)によって報告された。
  工信部の報告によると、一定規模以上の中小企業31万社のうち、2011年1〜7月の間に赤字経営の企業が4万社あり、毎月赤字経営に陥る企業が増えているという。さらに深刻であるのが、赤字額が1〜2月に比べて1〜7月には2倍以上に膨らんでいることである。
  リーマンショック以降、中国の中小企業経営は苦しくなった。2009年9月に国務院は、「国務院のさらに中小企業の発展を促進することに関する若干の意見」(国発[2009]36号)を発布した。
  この意見は、主に、(1)中小企業が銀行から融資を受けることが難しく、(2)担保を提供することが難しいという際立った問題に対処し、また、(3)税負担が重く、(4)市場の需要に対して生産が過剰であり、(5)経済効率が悪く、(6)赤字経営に陥っているという現状を打開するための施策を提言し、各省・部門に具体的な対策を講じるよう求めるものである。
  政策提言では、(1)銀行の中小企業向け融資条件を緩和し、(2)資金調達ルートを多様化するために証券取引所に中小企業の上場を促進するボードを設け、(3)中小企業信用担保制度を整備し、(4)国庫に中小企業発展基金を設け、(5)減免税などの措置を講じる必要があるとしている。
  この意見の実行を確保するため、国務院は、2009年12月に「中小企業発展促進業務指導チーム」を組織した。
  2011年8月18日に中国人民銀行金融市場局が発表した2011年上半期の金融機関による中小企業向け融資残高は約20兆元に達し、2010年より18%増えたという。
  それでもなお現実には多くの中小企業が経営難に陥っている。中小企業の経営を健全に保つことは、中国が内需を拡大し、産業構造を調整し、中国全体の長期的な発展戦略構想を実現する上で非常に重要なことであると認識されている。
  APEC中小企業サミットは、「成長の力」のテーマの下、「開放と共有」、「消費市場」、「産業高度化」、「モバイル・インターネット」などの問題が議論されている。日本の中小企業も中国進出を見据えてサミットに参加しているところ、中国の中小企業の現状および政策の動向も気になるところである。

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