コラムに関する感想
お問い合わせ
Last Update:2011/10/26
トップチャイナウォール
コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第197回 パナソニック子会社「三洋電機株式」のハイアールへの事業譲渡

(2011年10月26日)

  2011年10月18日、三洋電機は、中国海爾集団公司(ハイアール)への家庭用・業務用洗濯機事業、家庭用冷蔵庫事業および東南アジア4カ国における白物家電販売事業の譲渡に関し、ハイアール社と最終合意に至ったことを発表した。
  三洋電機グループは、白物家電製造・販売事業を日本、中国、ベトナムその他東南アジア各国において展開しているが、これはパナソニックグループ内の重複事業となっており、パナソニックの構造改革の必要性から、これらの事業につきハイアールに譲渡することが検討されてきた。
  一方、ハイアールは、「世界の白物家電事業のリーダーとなることを目標にしている」(杜鏡国副社長)ところ、三洋電機の研究開発、製造・販売拠点を活用できることはハイアールの成長戦略に非常に重要であるとの判断があった。
  三洋電機とハイアールの合意した主な内容は以下のとおりである。
  (1) 家庭用ならびに業務用洗濯機の製造・販売会社「三洋アクア株式会社」、および家庭用洗濯機の製造会社「湖南電機株式会社」の三洋電機が保有する株式をハイアールグループに譲渡する。
  (2) 家庭用冷蔵庫の設計・開発会社「ハイアール三洋エレクトリック株式会社」、および家庭用冷蔵庫の製造会社「ハイアール・エレクトリック・タイランド株式会社」の三洋電機が保有する株式をハイアールグループに譲渡する。
  (3) 東南アジアにおいて、冷蔵庫・洗濯機などの製造・販売会社「三洋HAアセアン有限会社(ベトナム)」、製造会社「三洋インドネシア株式会社」、販売会社「三洋インドネシア販売株式会社」、「三洋フィリピン株式会社」、「三洋セールス・アンド・サービス株式会社(マレーシア)」をハイアールグループへ譲渡する。
  (4) ハイアールに対して、ベトナム、インドネシア、フィリピン、マレーシアでの一定期間「SANYO」ブランドでの洗濯機・冷蔵庫を含む特定の白物家電およびテレビの販売を許諾する。
  今後、両社は 2012年3月末までの段階的なクロージングをする。
  2010年1−7月期に中国企業による対日M&Aは22件を数え、米国を抜いて中国が対日M&A件数でトップになるに至っている。1985年以降の累計では、99件にのぼる(中国大陸企業のみの数字)。ラオックスやレナウンのように大企業に対するM&A、資本業務提携も見られるようになってきている。
  こうした中、日本企業には中国脅威論を唱えるものもある。しかし、今後ますます中国企業によるM&Aは増えそうである。このとき、日中双方ともに中国企業による対日M&Aの実務の展開状況を知る必要があると考える。中国脅威論を唱えるだけでなく、Win-Winの資本業務提携関係を築く努力が必要であると考える。
  そこで、筆者および菊地正俊(メリルリンチ日本証券調査部チーフ株式ストラテジスト、マネージングテディレクター)、田漢哲(大成律師事務所パートナー弁護士)は、中国企業による対日M&Aが増える中、日中双方の企業にWin-Winの資本提携が実現されるためのデューデリジェンス、M&A戦略に関する提言した『中国企業の日本企業M&A』(蒼蒼社)を上梓した(10月28日発行)。 
  中国企業は、日本企業とのM&Aまたは資本業務提携に際しては、中国企業からすればさまざまな投資障壁が存在するということを認識して、投資をすることであろう。日本企業は、中国企業から熱い視線を注がれている。

※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002-2011 OBC-China Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はOBC-Chinaの商標です。
s