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Last Update:2011/12/28
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第201回 海外進出する中国企業の社会的責任

(2011年12月28日)

  中国企業の海外進出が増えている。中国政府には、海外直接投資により、(1)国際エネルギー資源の開発および加工を深化させ、(2)技術研究開発力を強め、(3)国際販売ネットワークを形成し、(4)著名ブランドを獲得・確立し、(5)グローバル経営のレベルを向上させたいという考えがある。
  このとき、中国企業は、海外において社会的責任について強く意識した経営をするべきであろう。また、中国政府もこうした方面で企業を指導する必要がある。
  中国の海外投資の最大の狙いは、現時点では資源確保にある。そこで、アフリカ中南部への進出、インフラ建設、経済支援が活発である。今や中国がアフリカ最大の貿易相手国になっている。
  開発途上のアフリカにとっては、中国政府および企業による経済支援、投資は、経済振興の上で歓迎されることであるかも知れない。しかし、一方で「中国型新植民地主義」になっているとの批判も強まっている。
  ザンビアには、すでに中国企業約300社が進出し、銅やコバルトの開発・生産し、2010年の中国からの投資は10億ドルで、GDPの6%に相当するという(日本経済新聞 2011年10月8日)。
  しかし、中国のアフリカに対する巨大インフラ建設計画は、地元経済に直接には利益を与えていないとう指摘がなされている。中国は、自国の技術者や労働者を送り込み、創出されるお金がアフリカ国内では流通せず、現地の雇用や貧困問題の改善にもつながらないからである。
  サタ・ザンビア大統領は、中国大使を呼び、中国企業が絡む事業の全ての既存契約を再点検すると告げたという。
  ナイジェリアでは中国製の繊維が流入し、地元繊維工場の8割が閉鎖に追い込まれ、25万人が職を失い、中国企業に対する襲撃事件も起きたことが伝えられている。
  2011年12月22日に対外請負商会(対外承包商会)は、2010年に発布した「中国対外請負工事業界の社会的責任ガイド」の執行状況について発表した。
  このガイドにおいて社会的責任について、7つの主要なテーマが設定されている。(1)工事の質と安全、(2)労働者の権利と職業の発展、(3)ユーザー(発注者)の権利、(4)供給チェーンの管理、(5)公平な競争、(6)環境保護、(7)コミュニティーの参画と発展の7つである。
  発表では、29社の調査対象企業のうち、23社が自主的に社会的責任報告書を作成し、公表しており、この企業は何れも社会的責任について強い意識を有し、高いレベルで達成しているという。
  しかし、現実はどうなのであろうか。中国は、中国に進出している多国籍企業に対しては非常に厳しく社会的責任の履行を求めている。これからは、海外進出をする実力を身につけた中国(企業)は、現地に根付く経営を考えなければならない。

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