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LastupDate:2004/8/11
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第21回 高まる資源保護意識

−割り箸生産、輸出の適否に関する調査−

(2004年8月11日執筆)



    最近、中国で割り箸の生産および輸出に対して、「資源の浪費ではないか、資源を廉価に輸出していることにならないか、環境破壊ではないか」という批判が少なからずある。割り箸の販売価格は、200組で9元、1組0.45元(約5.85円)である。生産コストは、1組0.3元程度といわれている。
   日本は、中国製割り箸の一大輸入国である。中国の税関統計によると、割り箸の輸出額は1億6,000万ドルで、このうち日本向けが70〜80%を占めているだけに、日本もこの議論の行方に対する関心は高いだろう。日本の商社マンから、「中国の輸出業者、生産者の話では、割り箸用の木は、間伐木を利用しているので問題ないと聞くが、実際は輸出による利益獲得のために、本来は伐採禁止の木も切っているのではないかと懸念する。」という声を聞くこともある。
  中国における割り箸の生産および輸出をめぐる議論は、中国人の環境意識の高まりとも評価できるのかも知れない。憲法26条は、「国は、生活環境および生態環境を保護および改善し、汚染およびその他の公害を防止、回復する。国は、植樹造林を組織および奨励し、林木を保護する。」と規定している。そこで、中国政府関係部門も市民の声を無視することはできないようだ。
  最近、以上の問題に関して、国家林業局木材経営管理弁公室による調査が行われた(『経済参考報』2004年6月17日)。この調査の結果は、次のとおりであった。
  現在、原木の販売価格は、1立方メートル当たり200〜300元である。割り箸を生産することによる付加価値は、200〜300元であり、原木の用途として経済効率は良いと判断される。中国には10万人の林業産業従事者がおり、この人員の就業確保にもつながっている。割り箸生産に消費されている資源は、資源の全使用量の0.5〜1%である。主要原料としては、成長の速い竹、白樺、柳および廃木である。以上から、全体として割り箸生産は、木材の経済的利用価値を高めていると評価される。 中国の割り箸年産量は、450億組だが、このうち廃材となるのは僅かに130万立方メートルであり、経済効率がよいという意見もある(寇・中国林業協会教授)。割り箸の使用は、ここ数年の間に中国で急速に増えてきた。ファーストフード店の増加で、箸の消毒などの手間およびコストが省け、衛生上もいいということなどが理由である。また、SARSが割り箸の普及に拍車をかけたともいわれる(王前進・中国林業経済学会副秘書長)。
   以上の調査などから、日本が中国製割り箸の一大輸入国であり、中国の資源浪費、環境破壊の元凶であるという批判からは免れそうである。
   ただ、寇教授によれば、一部に合板を利用したものもあり、この合板にはホルムアルデヒドが使用されているという。ソロバンをはじき、利益率が高ければ、不正でも行ってしまおうという側面は少なからずある。偽物製品の横行は、まさにこのことの証明になる。このような不正を防止するには、消費者の意識を高め、およびチェック・システムを確立することである。かかる方面での日中協力、日本の対中国支援がなされれば、日本に対する評価も高まるのではないかと考えるが、どうであろうか。



次号の更新は8月25日(水)ころを予定しています。

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