コラムに関する感想
お問い合わせ
Last Update:2012/4/25
トップチャイナウォール
コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第210回 増える中国企業の対日直接投資

(2012年4月25日)

  財務省の統計によると、中国企業(大陸のみ)の対日直接投資額は2010年に276億円となり、5年前の20倍以上になった。米国の2780億円に比べると遥かに少ないが、今後はますます増えると考えられ、M&Aだけでなく直接投資による対日進出が増えるものと予測される。
  2012年1月24日に日本貿易振興機(JETRO)は、山東省青島市の包装資材メーカーである「即墨市金龍プラスチック印刷有限公司」が、鳥取県大山市に現地法人を設立したと報じた。
  「即墨市金龍プラスチック印刷有限公司」は、青島即墨市に本社と工場があり、主に食品包装袋、ギフトバッグ、収縮ラベル、フィルムなどを生産している企業である。同社は、資本金1,000万元、主工場敷地55,000平方メートル、建物25,000平方メートル、従業員約200名、年間売り上げは6000万元(2009年)である。生産の8割を海外向けに販売し、そのうち約半分を日本に輸出しているという。
  鳥取県は、3月1日に鳥取県、大山町と同社による協定書の調印式が1日、鳥取市の知事公邸で行ったことを発表した。日本法人の社名は、「鳥取通商包材株式会社」となる。資本金は、6,000万円、投資額は約1億円(当初は、5,000万円)で主にポリプロピレン・ポリエチレン袋の製造を行う。従業員は、当初10名程度で将来的には20〜30名程度にする。初年度の売上高は6,000万円を目標にしている。
  JETROによると、鳥取県への進出について、同社の金岩軍社長は「原料を日本から輸入しており、 日本に販売、製造拠点を持つことは大幅な販売コストの削減につながる」と語り、事業拡大に意欲を示したという。
  中国の工作機械メーカーX社は、最近、日本に直接投資(独資)をし、工場を設立した。同社の製品は、主に米国他外国に輸出されている。X社が、日本に工場を設立したのは、メイド・イン・ジャパンのほうが米国で信頼度が高くなり、良く売れるからであるという。X社は、日本の工場では中国から日本に輸出した部品を組み立てるだけの作業をする。
  中国に進出している大手の楽器メーカーもXと同様の事業計画を立てている。やはりメイド・イン・ジャパンというブランド力があるので、中国の工場で生産された部品を日本に輸出し、日本で組み立てだけを行い、メイド・イン・ジャパンとして販売する。
  今後、このような事業戦略が採用され、中国企業の対日直接投資が増えてくると考える。日本における産業の空洞化が言われているが、中国企業の対日直接投資誘致は、遊休施設の有効利用を促し、雇用を生み出す効果も期待できるとして、誘致を推進する地方自治体も増えてきている。

※サイトの記事の無断転用等を禁じます。


© Copyright 2002-2011 OBC-China Reserved.  
"chinavi.jp" "ちゃいなび" "チャイナビ" "中国ナビ"はOBC-Chinaの商標です。
s