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Last Update:2012/6/27
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第214回 国際協力と競争力を強化するM&A

(2012年6月27日)

  国務院弁公庁は、2012年5月24日に「国際協力と新たな競争優位をすみやかに育成することに関する指導意見」を発布した。これは、国家発展改革委員会、商務部、外交部、科学技術部、工業情報化部、財政部、人民銀行、税関総署が共同で策定したものである。
  この指導意見は、(1)指導思想および基本原則、(2)目標任務、(3)保障措置の3部、18項目で構成される。この指導意見において重要であるのは、やはり外資を如何に活用するかということになりそうである。
  外資利用に関しては、「引資」と「引智」(引知)を結合させると言っている。資本の導入(引資)から、先進技術、管理ノウハウ、ハイスペックの人材活用といった「知」の導入へと軸足を移す。
  では、「知」をどのように手に入れるか。このとき、積極的に海外に進出する「走出去」が考えられる。指導意見は、中国は、軽工、紡織、機械、家電、電子通信の分野で比較的に競争優位があるので、当該分野の海外進出を奨励している。また、冶金、建材、化学工業に関しては、海外に生産基地を建設することが奨励される。資源開発も重要な海外投資分野である。
  かかる国際競争力、「知」を獲得するために、海外企業のM&Aが重要な手段となる。
  さて、このとき海外において適法な経営を行い、環境資源保護に注意し、進出先国の経済社会と融合し、社会的責任を果たすことが重要であると認識されるようになってきている。
  このように認識されるようになったのは、やはり多くの失敗があるからであろうか。
  中国の建設会社が、ワルシャワとベルリン間の道路建設を請け負っていたが、事業計画があまく、建設経費不足に陥り、かつ監督管理ができずに契約の期日までに建設ができなくなってしまった。この道路は、サッカー欧州選手権に間に合わせようと、ポーランドが工事を国際入札したところ、中国企業が最安値で落札したものであった。
  中国企業の実力を国際的にアピールしようとしたものであったが、逆に財務知識のなさ、管理能力のなさを露呈することになった。問題発生後の処理、コミュニケーションも悪かったようである。
  かかる問題があるからか、中国は、文化面の「走出去」をしようとしている。単に外国の経済社会に適用させようとだけ考えている訳ではない。文化貿易を積極的に発展させ、海外に中国文化センターを設置し、孔子学院を設立し、中華文化を世界に感染させ、親和を図りたいとしている。
  国際協力と新たな競争優位をすみやかに育成する上での基本原則は、「互利共贏」(Win-Win)の関係を堅持することである。これが果たせるか。中国企業が「走出去」するには、なお学習することが多くありそうである。

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