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Last Update:2012/9/12
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第219回 消費拡大のボトルネック

(2012年9月12日)

  中国は、経済の持続的発展のために内需拡大が必要であり、個人の消費拡大を図ろうとしている。しかし、このとき貧富の格差拡大と市民の生活への不安・不満足という問題がボトルネックとしてありそうだ。
  国家統計局の発表によると、中国の富裕層(富裕層の定義は明確ではないが。)の全国の総資産に占める割合は、2011年に32%であったという。ところが、西南財経大学が2011年に8000の家庭に対して実施したサンプル調査によると、10%の富裕層が全国の総資産の86%を占め、全国の家庭総収入の56%を占めていることがわかった(Wall Street Journal 2012年9月6日)。
  米国連邦準備制度理事会のデータでは、米国の場合には10%の富裕層が総資産の74%を占めているというが、これと比較しても中国の貧富の格差が大きいことが明らかである。
  中国の消費伸長モデルは、政府に夜公共医療、教育および社会保障支出を拡充することで、市民が貯蓄より消費を優先させるようにするというものであったが、このモデルの信憑性も怪しくなってきた。中国の一般家庭は、消費したくないのではなく、そもそも現金収入が少ないのではないかと考えられる。
  ホワイトカラーの生活、上昇志向、チャイニーズドリーム追求に対する疲れということもあるだろうか。人人網は、「2012年度ホワイトカラー無関心度調査報告(白領冷漠度調研報告)」を発表した。2329件のアンケート調査の結果である。この調査結果から、ホワイトカラーの幾つかの悩みの所在が明らかになる。
  第一に、職場に対する無関心である。33.6%が職場に何の思い入れもないという。職場が暖かい場所であると感じる者は29.1%で、19.1%が出勤にプレッシャーを感じ、前途に希望が持てないという。
  第二に、人間関係に対する無関心である。81.2%の者が、良好な人間関係を構築する必要があると感じているが、なかなかこれができないようである。親しくない人からの依頼だと、業務上の協力も拒否することが多いという。
  第三に、家庭に対する無関心である。多い残業に対する疲労感が原因となっている。91.6%の者が、職場での倦怠感、疲労感を感じている。家に帰っても口を聞く気にならないという。
  譚剛強(重慶協和審理諮詢所所長)は、どうすれば無関心症状から脱することができるのかについて、「多様な趣味を持つことでプレッシャーから解放される。例えば、週末には郊外に行き、大自然と親しんだり、オープンカレッジなどに参加し、知識の幅を広げたり、社会活動に適度に参加し、読書会等に参加したりするのがいい。このような趣味を持つことで、本当の自我価値を発見することができる。」という(重慶晩報 2012年9月6日)。
  中国は、新しい発展モデルを模索する時期に来ている。 

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