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Last Update:2013/01/09
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第227回 中国進出企業は企業文化の変革を

(2013年01月09日)

  2013年にホワイトカラー、とりわけ専門的技術を有するホワイトカラーの転職が増えそうである。世界金融危機で転職が控えられていたが、今年は転職をする予定であるというホワイトカラーが増えている。多くの者が既に高給での引き抜き打診を受けているという。
  ホワイトカラーが転職する際に重視する問題は何か。一般的には、またはこれまでは高い給与と充実した社会保障が継続されることが最も重要であるといわれてきた。しかし、最近になって転職する場合に考慮する要件に変化が見え始めてきた。
  第一に、(1)責任ある地位への登用、挑戦のチャンスが与えられることである。第二に、(2)良い企業文化、人的関係が形成されていることである。第三に、(3)仕事と生活のバランスがとれていることである。第四に、(4)明確なキャリア・プランがあることである。第五に、(5)リーダーシップがあり戦略方針があることである(MRI China Groupの調査による。)。
  同様に、現在働いている企業に残るというホワイトカラーが、残留する理由としてあげる点も上記の点と共通する。
  中国で優秀な人材、とりわけ中間管理職を任せられる人材を確保することは容易ではない。中国の世界経済における競争力評価(World Economic Forumによる評価)は、2012年に順位を下げた。中国の競争優位が低い分野として、人材の問題が指摘される。教育の質が低く、とりわけ企業経営に関する教育レベルが低いといわれる。学校における教育の内容が、ビジネスで求められる教育と乖離しているという問題がある。
  優秀な人材の数に制約があるところ、人材を確保しようとする中国進出企業は、相応の企業戦略、人事労務管理制度を構築することが肝要になる。
  最も重要な観点を述べるとすれば、企業文化の変革である。上記で第一の理由としてあげられている「責任ある地位への登用、挑戦のチャンスの付与」ということもある種の企業文化である。日本国内の企業とは異なり企業文化を形成する必要がある。
  では、如何なる企業文化を形成すれば良いのか。MRI China Groupの調査によると、(1)明確な将来像、(2)功労に対する公正さおよび昇進(能力主義)、(3)良い会社の構成メンバーが三大重要ポイントである。転職する場合の考慮ポイントとして、三番目に「仕事と生活のバランス」があげられていたが、この重要性はだんだん低下してきているという。 
  最近では、優秀な人材確保のためにストックオプションを与えている私営企業が増えてきている。中国進出日本企業も証券取引所に上場し、管理職や技術者にストックオプションを与えるという戦略を考えるときに来ているのではないか。日本本社の企業文化、経営手法を押付けるだけでは、中国で良い経営はできない。東洋エンジニアリングの対現地法人から独立した「トーヨー・タイ」のような方式もモデルとなるだろうか。
  中国で独立して経営をし、企業を成り立たせる企業経営戦略、人事労務管理制度を再考する必要がある。  

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