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LastupDate:2004/9/08
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第23回 グローバル都市の意味は?=文化レベルの向上

(2004年9月08日執筆)



    2010年に万博を控えた上海。今の上海に必要なものは何か。それは、さまざまな公共文化施設というハードよりも、ソフトである。最近、上海市は、市民の文化レベルを高めようというパブリック・キャンペーンを始めた(China Daily 2004.8.19)。
  では、文化レベルとは、何か。ここで文化レベルとは、自己修養を積み、清廉で、礼儀正しく、環境保護に配慮し、助け合いの精神を有することであるという。
  このために2010年までに3段階のプランを立て、実施する計画である。第一ステージは、今から2005年までとし、この間に、痰を吐く、ごみを散らかす、乱暴な口を利く、信号無視の横断などの悪習慣をなくす。第二ステージは、2006年および2007年で、この間に第一ステージの実行効果を確固なものにし、さらに法意識の向上、精神の健全化、コミュニケーション・スキルの向上を図る。第三ステージは、2008年から2010年で、この間に市民の素質を全般的に高める。
  さて、このパブリック・キャンペーンに、上海人自身から早くも疑問が呈されている。それは、「躾は若年から行わなければ身につかない。無理では。」との声があることである。
  筆者は、8月19日から9月14日までの間、国際協力機構(JICA)の対中国円借款プロジェクト「中国西部地域中等都市発展戦略策定調査」の関係で中国に滞在した。調査対象地区に四川省があり、そこで筆者は省都である成都市を訪問した。 空港を出ると白タクの客引きがすさまじい。空港から市内までは正規のタクシーの料金の倍を要求する。多くの外国人観光客などが四川省政府に苦言を呈するが、黙認もしくは公認状態である。成都市では、レストラン利用時に国が公認した書式の領収書が最近になってやっと発行されるようになったばかり。近郊の世界遺産に指定されている青城山でも、客引きなどの不法な商売が横行している。地方都市になると、なおさら先進資本主義国に見られる文化レベルとのギャップが感じられる。
  成都市の実態を見ると、中国における闇経済の規模は、ある中国人研究者の試算では15%くらいであっったが、実際にはこの倍以上あるのではないかと思わせる。中国人の「そろばん経済」信仰はすさまじい。このシリーズ(チャイナウォール)では、中国人の法意識について考察し、この中で中国人の権利意識の高まりも紹介している。中国人は、この権利も商売の種にする。権利は義務を伴うものであるということを失念しているようである。
  上海市は、2010年までに法治都市、正直で、友好的な都市にしたいとしている。


北京市中関村大街にて



次号の更新は9月22日(水)ころを予定しています。

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