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Last Update:2013/05/08
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第235回 腐敗撲滅のための行政改革の必要性

(2013年05月08日)

  2012年12月に開催された中国共産党第18回全国代表大会において、行政体制改革は経済基盤をさらに高める上で必ず推進しなければならない問題であるという指摘がされた。行政改革の必要性は、市場経済を確立する上での要となる反腐敗という側面からも必要である。
  2013年1月3日に習近平は、新しい状勢の下での政治・法律活動に関する重要な指示をした際に、法治を推進し、公平な法の執行を堅持し、司法の腐敗をなくし、法の執行能力を高めよと述べた。行政機関の腐敗や不道徳が蔓延していることは、共産党の存亡を脅かし兼ねないという意識の表れである。
  行政機関は、メディアで様々な情報が得られる社会にあって、世論の監督から逃れることはできなくなってきていることも行政改革およびこれによる腐敗撲滅の必要性を強く認識される要因となっている。
  2013年4月に四川雅安市で起こった壊滅的地震に対して、多くの中国人が義援金を寄せている。ただし、5年前の四川省の地震の時と大きく異なるのは、多くの人が中国赤十字社ではなく民間の慈善団体に寄付をしていることである。これは、義援金が腐敗していると名高い政府機関の掌中に落ちないようにするためである。
  中国赤十字社は、2011年2月までに国内外から合計43億元気相当の義援金・物資を受け付けた。ところが、2011年夏、郭美美の醜聞が中国赤十字社を嫌われ者にした。当時20歳の女性郭美美は、ウェブサイトに自分がイタリアのスポーツカーに乗り、エルメスのバッグを持つ写真と飛行機のビジネスクラスに座っている写真を掲載していた。彼女はブログで自分自身は赤十字社の業務部長であると述べていた。結果として、中国の人々はブログやその他の場で今の四川の救援活動に関して義援金を出そうとするとき、赤十字社を回避しようとするようになった。
  メディアの存在を意識して、政治・法律の透明度を高める必要がある。5月3日に最高人民検察院は、全国の検察機関の業務会議を開催し「食品安全を害する刑事事件の適用法の若干の問題に関する解釈」を通達する際に、初めての試みとしてメディアを通じて実況放送をした。これも世論による監督があるということを意識したものであろう。
  さて、行政改革に関しては、現在の政府が社会や企業に対して超越した存在となり、不適切な管理や競争原則を等閑にしていることを反省した改革が必要になる。このために、(1)中央政府は地方政府に権限を委譲し、(2)中央・地方行政機関の過大な許認可権限を削減して、可能な限り準則主義によるようにし、(3)行政機関による市民や企業の権利侵害をなくし、(4)行政機関も市民や世論の監督を受けるような改革が求められる。(5)法治化のレベルも高くないので、法による規律が確保される執行体制・権限を強化することも必要である。  

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