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(2013年06月12日)
ビッグデータの分析が新たなビジネスを開拓すると期待されている。また、これが政治、経済および社会に変化をもたらすのではないかとも言われる。ビッグデータは、ツイッターやフェイスブックでリアルタイムに発信される情報が元になる。 先日、中国武漢外国語外事学院の要請で、麗澤大学で学生同士がスカイプを通じた交流が行われた。両国学生の日常生活、ファッション、恋愛などに話が及んだ。最後に学生同士でQQ(中国版チャット)やウェイボー(微博。中国版ミニブログ)のアカウントの交換をしていた。 中国は、世界でフェイスブックにアクセスできない4カ国SICK(シリア、イラン、中国、北朝鮮。SICKという言葉は、フェイスブックが新規株式公開の際に使った。)の一員である。世界の情報、とりわけ政治的情報が一般の中国市民に広がらないようなファイアウォールを設けている。 しかし、世界にフェイスブックやユーチューブがあることは一般の中国人にとっても周知のことである。このような情報交換の場を享受できないことに対する不満を軽減しようとするためか、中国にはフェイスブックに代わる「人人網」、ユーチューブに代わる「優酷網」、「土豆網」がある。これを中国政府が、うまくコントロールし、管理している。市民の不満のはけ口として機能していることは否定できそうにない。時には世論を操作していると考えられることもありそうだ。それでもこのような管理がいつまで可能か。 2008年の北京オリンピックのメイン会場「鳥の巣」の設計や彫刻で有名な艾未未(アイウェイウェイ)は、同年発生した四川大地震で手抜き工事のために倒壊した小学校があったことなどから、中国政府を痛烈に批判してきた人権活動家としても知られる。このため2011年に脱税という名目で逮捕された。 彼が、2013年6月に自らが作詞した「Dumbass」(ばかなやつ)と題するアルバムを発表する。アルバムは、2012年に自宅軟禁から逃れて北京の米大使館へ駆け込んだ「盲目の人権活動家」陳光誠氏の歌など政治問題を扱ったものである。食事中も寝ている間もトイレでも見張られているという曲もあるそうだ。 多くの中国人が日本に留学に来ている。彼らが日本に来て早々に始めることは、フェイスブックへの登録である。彼らは、政治的問題は話題にしないが、フェイスブック中毒にかかったかのように1日に何回も書き込みをしている。中国に帰国した後には、フェイスブックは見られなくなるが、そのことは百も承知で留学期間中の出来事を書き込んでいる。 今、中国では政府の腐敗、贈収賄事件がインターネット上だけでなく報道され、隠しようもない。こうした事実に対して、市民は、単に不満のはけ口としてブログで発言するだけでなく、抗議を強めている。政府は、環境問題などに関しては対応をせざるを得なくなってきている。今の若いブログ世代は、中国の政治、経済および社会に変革をもたらす力になって来るだろうか。
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