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Last Update:2013/09/25
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第244回 経済犯罪の取り締まり

(2013年09月25日)

  中国においては、商品経済の発達、市場経済課の推進に伴って、経済犯罪を取り締まる経済刑法の重要性が増してきている。個人と個人の財産関係から、個人と企業、社会財産に係る利害の衝突ということが増えてきている。
  経済犯罪とは、行為者が不法な利益を得るために、経済取引において許容される経済活動方式を濫用して、すべての直接・間接的に規律される経済活動の関係法規に反して、正常な社会主義商品経済活動に危害を加え、経済生活秩序を乱す行為である。
  ケ小平は、1982年に「我々は、一方の手で改革開放を堅持し、もう一方の手で経済犯罪を取り締まらなければならない。」と述べている(『ケ小平文選』人民出版社、1993年版、404頁)。同年、全国人民代表大会常務委員会は、「重大な経済破壊をする犯罪を厳しく罰することに関する決定」を発布した。
  現行刑法は、経済犯罪行為を(1)工商管理秩序を妨害する犯罪、(2)金融管理秩序を妨害する犯罪、(3)税関管理秩序を妨害する犯罪、(4)徴税管理に危害を加える犯罪、(5)知的財産権を侵害する犯罪、(6)汚職賄賂犯罪、(7)環境資源破壊罪、に分類して規定している。
  さて、最近、共産党中央規律検査委員会と国務院監察部は、汚職・腐敗を取り締まるウェブサイト(http://www.ccdi.gov.cn)を立ち上げた。反腐敗活動、政府高官の腐敗裁判などについて報道しているほか、市民が、匿名で腐敗を簡単に告発することもできるようになっている。
  このサイトは、一般国民が腐敗、それが高官である「虎」であろうと、低い身分の官吏「ハエ」であろうと関係なく、通報するチャンネルとの宣伝文句で導入された(Wall Street Journal 2013年9月6日)。本当に機能させようと考えているのか、単なるガス抜き、ポーズに過ぎないのかは判然としない。やはり、市民は懐疑的なようだ。
  米国証券取引委員会(SEC)は、J.P.モーガンが中国政府高官の子女を雇用することで、業務上の利益を得ようとしているのではないかということで、同社の調査を開始した。この意図は、単純に中国で事業展開をしている米国企業の活動を監督しようとしたものなのか。または、本心では、中国の政府高官や企業の腐敗を暴こうとしているのか。
  日本もこれに習ったように愛知県警が、2013年9月11日にトヨタ自動車系の自動車マフラー大手「フタバ産業」元専務を、現地法人に便宜を図ってもらおうと、中国の地方政府幹部に賄賂を渡したとして、不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)容疑で逮捕したことが報道されている。
  中国事業を展開する企業は、経済犯罪、反腐敗という観点から自らを律するリスクマネジメントがこれまで以上に重要になる。

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