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(2013年10月09日)
今、国慶節の期間中である。全国暇日旅遊部際協調会議弁公室(全国暇日弁)が、国慶節期間中の全国の観光状況を毎日公表している。 これによると、10月1日と2日の2日間の主要都市の観光客数は、2012年同期に比べて18.8%増えている。10月1日の鉄道旅客数は1,030万人で13.2%増えている。2日は835.1万人で14.7%増であった。2013年10月3日の1日間には、全国の125カ所の観測対象観光地点に延べ623.11万人が訪れている。北京故宮には15.41万人、頤和園には10.84万人が訪れた。 中国の観光業において悩ましい問題がある。それは、観光業界の競争が過当競争となっている現状があり、価格やサービス、安全面に問題があることである。 国家発展改革委員会が行った観光業界の価格調査によると、価格詐欺、ダンピング等の行為が少なくなく、検査の結果、39社に1,800万元余の罰金を科した(北京晨報 2013年9月30日)。国家旅遊局のデータでは、2012年末時点で全国に2万4944社の旅行社がある。これが、過当競争を生み、また質の悪い業者が参入しているということもありそうだ。 そこで、「旅遊法」(観光法)が、2013年10月1日から施行されている。団体旅行のダンピング合戦などといった「悪性競争」をなくそうというのが主な立法趣旨のようである。同法の施行を前にして、団体の観光料金はすでに30〜100%上昇しているものがあるという。例えば、海南—タイ路線の6日間観光の団体料金は、1人当たり1,000元値上げされ、2,800元になっている(経済参考報 2013年10月4日)。 この旅遊法に問題はないのか。企業間の公正・公平な競争が確保されれば良いのだが、(1)観光客を確保しようとするために、関係部門に対する商業賄賂の提供、(2)観光客を不要な土産物屋に誘導する行為などの規制が難しそうであり、また、(3)ダンピング販売禁止をいいことに旅行社間の談合という懸念も生じそうである。消費者からは、不満の声がある。 観光シーズンが集中し、観光客をさばききれないという問題も未解決である。全国暇日弁は、「さらに“十一”ゴールデンウィークにおける観光地区のサービスと管理を強化することに関する緊急通知」を発布し、サービス向上と観光客の事故防止をなくすよう求めていた。しかし、四川省九寨溝で10月2日に観光客が入園しきれず、入場料を全額返還し、管理局が謝罪するという事件が発生した。 さて、全国暇日弁の発表によると、10月2日(17時時点)の全国の観光地の入場料収入は3億4400万元、昨年同期に8.9%増であった。観光だけでなく、今年1〜8月の小売額について見ると、前年同期比12.8%増であった(国家統計局の発表)。これは、GDPの35%程度に相当する。中国政府は、構造改革をし、GDPの消費に占める割合を先進資本主義国並みの60〜70%にまで高めたいとしている。このためには、内需を喚起する必要がある。ゴールデンウィーク時の中国国内外への観光ブームを見ると、国家統計局の発表以上の消費割合がありそうにも思える。統計では把握できない地下経済マネーがあるのかも知れない。
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