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LastupDate:2004/9/29
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第25回 秀水文化の混迷(その2)

――文化、街づくり、ニセモノ、個体戸 v. 大企業、利権 etc.

(2004年9月29日執筆)



    多くの個体戸がテント程度の店構え軒を並べひしめき合い、服装ほかの身の回り品を販売するアウトドア市場「秀水市場」が撤去され、その後に大規模の現代的モールに建替えようという計画が進行している。秀水市場のどこに問題があるのか。

2 秀水街の持つ課題

  上述の秀水街の現状の姿から、現時点においてどのような課題が存在すると考えられるか。
  第一に、(1)ニセモノ市場であるということである。これは、消費者の権益を侵害することになるといえる。WTO加盟後も各種のニセモノ商品が蔓延っていることから、外国政府・企業は、この取締りの強化を中国政府に要求している。秀水街の現状は、あまりにもニセモノ市場として著名になったが故に、中国政府当局としても黙認できない状況が生まれたといえる。
  第二に、(2)大量の農村出稼ぎ者の不法流入があることである。北京市の幹線道路、ビジネス街などでは、近代的な高層建築物が林立している。しかし、その陰では市街中心地でも依然として少なからぬ「胡同」がある。「胡同」とは、「四合院」という庭を囲んで、四方に建物を配置した伝統的住宅街にある路地をいう。庶民が行きかう横丁である。ここには、まだ昔の北京の風情があり、保存したいものである。しかし、一部廃墟となった胡同に地方からの不法労働者が入り込んでいる。


近代的建築物の谷間にまだ胡同が残る。何れ取り壊される運命か。
胡同の社区委員会の掲示板には、“厳打不法流入”の貼り紙も見られる。


  秀水街で働く売り子にも一部不法流入者がいるといわれている。地元住民からは、治安悪化を心配する声が上がっているという。
  第三に、(3)小さなテナントが密集しているので、火災の危険があるとの指摘もある。また、景観を損なうとの批判もある。
  このような課題があるところ、これらの問題を解決すべく策定されたのが、「秀水市場大廈」建設計画である。そこで、以下では「秀水市場大廈」建設計画について、概要を紹介する。

3 現代的モール建設計画とは

  「秀水市場大廈」建設計画は、現在の秀水街を撤去し、その後に大規模な現代的モールを建設しようというものである。秀水街市場大廈は、地下3階、地上5階、3万平方メートルの大型ビルとなる、現在の秀水街の個体戸数の3倍以上の1,500以上のテナントを収容することができるようになる。
  「秀水市場大廈」の開発は、北京新雅盛宏不動産(房地)開発公司が行い、大廈の経営は、北京秀水豪森服装市場有限公司が行う。
  2004年6月21日には、北京21世紀飯店で競売会が開催された。この競売会では、テナントの競売価格として、4.83平方メートルのところが5年契約で395万元の値がついたところもあった。各テナント平均して、毎月のリース料が5万元になる。
  北京秀水豪森服装市場有限公司は、国内の数十社の旅行会社と「秀水市場大廈」を北京の観光スポットに組み入れる契約も締結した。同有限公司によれば、5年間で投資が回収されるという。

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