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Last Update:2014/01/23
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第252回 影の銀行規制の背景:地方債務

(2014年01月23日)

  中国の高度成長は、地方政府の建設プロジェクトの大量支出によって支えられてきた。そして、最近のこの支出を大きく支えてきたのが、「影の銀行」(シャドーバンキング)の存在である。  
  J.P.モルガンの推計では、2010年から2012年の銀行の貸出が引き締められた間に、影の銀行の融資総額が2倍に膨らみ、36兆元になったという(Wall Street Journal 2014年 1月 7日)。  
  2013年6月末までに中国の地方政府による銀行融資に対する政府保証の総額は10兆1,200億元となり、地方政府の債務総額の56.6%を担っている。地方政府の債券発行量も増え、2013年6月末までに地方政府の債務総額の10.3%を占め、2010年末の7.1%よりも増えている。  
  発展改革委員会によると、2014年に合計1,000億元(約165億ドル)の地方政府の融資平台公司が発行した債券が償還になると見込まれている。この地方政府債務の50%以上が、デフォルトになる可能性があるとも言われている。  
  そこで、中国政府は、急拡大を続ける影の銀行の包括規制に乗り出すための通知(107号文献)を発布した(2013年12月10日に国務院が各監督管理機関に通知したが、対外的には公布されていない。)。  
  通知はまず、影の銀行を(1)金融免許を持たないネット金融仲介会社や「理財商品」の販売会社など、(2)金融免許を持たないノンバンクや信用保証会社など、(3)金融免許を持つファンドや理財商品業務などを営む金融機関、の3分類に定義し、国務院が主導し、各レベル別に監督管理を行うようにする。規制の網からもれていた理財商品の販売会社やネット仲介会社は、中国人民銀行(中央銀行)が関係部門と協議し、規制制度や監督機関の枠組みをつくるとしている(日本経済新聞2013年12月31日、経済参考報2014年1月10日)。  
  中国は、影の銀行に存在するリスクを強く感じる状況になっている。中国の急拡大する債務規模は、中国の金融体系の安定にとって重大な危機になるからである。  
  発展改革委員会は、地方政府が設立した融資平台公司は、新しい債券を発行し、満期になる債務償還に使用し、かつ融資平台が継続、安定して既存の建設プロジェクトを支持することを確保すると述べた。  
  このことは、地方政府が旧債務の償還に関して大きな圧力に直面していることを勘案し、発展改革委員会が地方政府により多くの資金調達の余地を与えるものである。

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