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Last Update:2014/04/21
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第258回 東莞の靴メーカーで大規模スト

(2014年04月21日)

  東莞の最大手靴メーカー裕元工業集団有限公司(以下、「裕元」という。)で従業員4万人がストライキを行っていることがニューヨークタイムズにより報道された(2014年4月18日付。また、東莞本地報や財訊など中国国内のネットでも報道されている。)。
  裕元は、2013年の売上額が75.8億ドル(約471億人民元)で、アディダス、ナイキ、コンバース、ニューバランスなどブランドのシューズを生産している。2012年時点で中国、ベトナム、インドネシアで40万人以上の従業員を雇用しており、最大の工場が東莞で約6万人の従業員がいる。
  東莞工場の従業員が、自分たちが給与から控除されているのと同額の社会保障費および住宅積立金を企業が積み立てると言いながら、この義務を履行していないとして、ストライキを行っている。
  China Labor Watch(中国労工観察:2000年にニューヨークで設立されたNPOで、中国人労働者の人権擁護を目指す団体)によると、中国の工場で発生しているストライキの多くは、福利厚生にかかわる問題であるという。China Labor Watchは、数百人が「社会保険金を返せ、住宅積立金を返せ」という横断幕を持って市内をデモ行進し、警察と衝突した場面もあったという。
  2013年11月には、ノキア東莞工場で、米毎頃ソフトへの携帯電話端末事業売却による労働条件変更を不満とするストが発生した。2014年1月にはレノボグループ(聯想集団)が、IBMの低価格サーバー事業を買収することに不満を持つ従業員によるストが深圳工場で発生した。
  日系企業にかかわるストではないせいか、日本における報道はあまりない。しかし、現実には毎年非常に多くのストが発生している。外資系企業内で発生するものもあれば、生産委託先の中国工場で発生しているものもある。
  中華全国総工会のホームページや工人日報のホームページ:中工網などでもこのようなストについて報道されることは稀である。中国共産党、人民政府としては、このようなストを好ましいものとは考えていないことを思わせる。それでも一度ストが発生すれば、共産党や人民政府が、外資企業のサイドに立って調停にはいるというようなことはない。
  前述した通り、裕元は、アディダス、ナイキなど大手メーカーの生産委託先工場である。自社工場ではなくても生産委託先の中国工場でストが発生すれば、当然ながら委託製品の生産、納期に支障が生じる。外国企業としては、生産委託先企業の人事労務管理についても十分に目を配っておく必要がある。      

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