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LastupDate:2004/10/06
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チャイナウォール
コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−
第25回 秀水文化の混迷(その3)
――文化、街づくり、ニセモノ、個体戸 v. 大企業、利権 etc.
(2004年10月06日執筆)
秀水市場は、なぜ撤去されようとしているのか。現代的モール建設の本当のわけは、何なのだろうか。政府関係者の利権の問題が取りざたされている。
4 現代的モール建設計画の陰
「秀水市場大廈」の建設後、現在の秀水市場はどのように変貌するのか。大廈の規模は、現在の秀水街の個体戸数の3倍以上の1,500以上のテナントを収容できるというが、現在の個体戸が入居することになるのか。
現在の個体戸の経営状況は、平均的なところで毎月の売上げが4,860元である。この中から管理費、設備・修繕費、売上税など売上げの約4分の1に相当する約1,100元を関係当局に支払っている。秀水街市場大廈のテナント料が、平均して毎月5万元であるとすれば、現在の個体戸が入居することは不可能であるといえる。
そもそも秀水市場撤去の話しが出たのは、1999年がはじめであるという。このときには、秀水街は景観を破壊するというのが理由であった。ところが、今回は、安全問題だという。前述したとおり(その2)、火災の危険、治安の悪化が主な理由として述べられている。しかし、この理由は、こじつけであろうとの声が少なからずある。1999年の秀水市場撤去の話の前年、1998年に大企業「建華貿易公司」に「秀水」が商標登録されているという事実も疑問に拍車をかける。
(秀水市場は、多くの外国人観光客らでにぎわう。ここでは火災防止のために“喫煙禁止”の大きな横断幕がある。火災の危険があるという北京市政府の意見にテナントが応えた措置である。)
秀水市場撤去は、誰かによって、この誰かの利得のために仕組まれたのではないかとうわさされる。 中国青年報の記者の取材では(中国青年報、2004年7月14日)、秀水市場の直接管理者は、北京市朝陽区建国門外社区経済管理センター(以下、「管理センター」という。)である。この管理センターは、朝陽区社区管理弁公室の所轄で、秀水市場の管理費を徴収していた部門である。1998年に管理センター所属の「北京市朝陽区建華貿易公司」が「秀水」商標を登録した。この商標登録の有効期間は、2000年から2010年である。
「秀水市場大廈」の開発は、北京新雅盛宏不動産(房地)開発公司が行い、大廈の経営は、北京秀水豪森服装市場有限公司が行う。北京秀水豪森服装市場有限公司の株主は、北京市新雅順天府商業連鎖有限責任公司(160万元を出資)と北京市朝陽区建華貿易公司(40万元を出資)。建華貿易公司の法人代表は、管理センターの書記であり、秀水豪森服装市場有限公司の総経理でもある。2003年末から、朝陽区建華貿易公司は純資産56万元のうち、29万元を北京市朝陽区華秀工芸服装店に譲渡し、27万元を管理センターの書記および市場課長ら15人に譲渡されている。
秀水市場のテナント数は、418戸である。このテナントが、1年間に管理部門に支払う管理費は、1999年前は255万元であった。これが2002年には、354万元となり、さらに2003年には551万元と急増している。また、2003年には、管理費のほかに毎年300万元余の工商管理費、1,100万元余の国税を負担している。多くの個体戸が、この管理費は一体どこに消えたのかと疑問に思っている。
次号の更新は
10月13日(水)
ころを予定しています。
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