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(2014年10月06日)
会社の社会的責任の重要性が中国でも強く認識されるようになっている。 最近、CSRの真のニーズは何かという記事(『中国財冨』 2014.9.23)に以下のような叙述があった。 「市民と企業はほとんどがCSRと企業公益を同じものと認識している。多くの企業は公益のニーズから公益戦略・販売・宣伝を含む諮詢市場を創造しているが、この市場は企業全体の社会的責任体系の確立から派生した諮詢市場ではない。」 会社の社会的責任(CSR)の概念は、先進資本主義国では企業統治、慈善活動、文芸活動などが含まれる。しかし、中国では主に企業統治=会社の機関設計を指す。慈善活動については、企業公益という言い振りをしている。もっともこのように言ってもCSRには慈善活動、文芸活動も含まれるという考えも少なくなく、上述した概念が絶対的なものではなく、少数意見のような気もする。なお、文芸活動に関しては、余り意識されていないようである。 それでも中国ではCSRに慈善活動は含まないのかと思い、調べたところ百度百科に「企業公益指数」というのが紹介されていた (http://baike.baidu.com/view/3069617.htm)。 中国企業公益指数なるものがコンサルタント会社により発表されているものである。 これは全国203の大中型企業および1,285名の市民に対して行われた調査である。この結果、企業公益指数は44.0ポイント(100点満点)であり、不合格であるとされている。 毎年公益投資を事業計画に繰り入れている企業は、3割にも満たない。企業内に公益専門部門を設置している企業が1%しかない。25%の企業はほぼまったく公益を検討し、担う部門が存在しない。また、公益活動についても7割弱の企業が、メディアで宣伝することもない。これに対して、中国進出多国籍企業は7割の企業が公益活動についてメディア等で宣伝をしているという。 では、公益活動は、どのような分野で行われているのか。公益活動の40%は貧困救済で、次に28.4%の教育支援である。衛生保健分野に対する支援活動は非常に少ない。 さて、CSRの概念がどうであるかは別として、今、企業の公益活動を強化させようという意見が強くなってきている。 民政部は、2014年1月9日に「民営企業が積極的に公益慈善事業に従事することを奨励して支持することに関する意見」を発布した。これは、民営企業をして、慈善事業を支持発展させ、社会ガバナンスを刷新するというニーズに基づき、広範な民営企業が公益慈善事業に参与することを促進し、中華民族の伝統的美徳を高揚し、社会的責任を積極的に果たし、社会問題の解決、所得格差の縮小、社会の公平・和諧を促進する中で絶えず新たな貢献をするようにさせようという趣旨のものである。 日産は、2010年6月から北京市の蒲公英中学およびNGO団体と協力して、農民工の子女のための教育の場を設ける活動を始めており、この活動は中国で報道されている。今後もこのような活動が企業には要請され、企業もかかる活動を積極的にすることで、企業の収益にも結びつける戦略が重視されるようになるだろう。
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