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LastupDate:2004/10/13
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コラム、『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第27回 秀水文化の混迷(その4)

――文化、街づくり、ニセモノ、個体戸 v. 大企業、利権 etc.

(2004年10月13日執筆)



    秀水市場の撤去、現代的モール建設の背景から、文化とは何か、街づくりとは何か、市場経済化途上の中国の政治・経済的課題が見えてくる。

5 利害関係者(ステークホルダー)の権利問題


   秀水市場撤去理由の公式見解は、火災の危険、治安上の問題から、公共利益を守る必要があるというものである。 2004年7月7日に朝陽区建国門外街道弁事処は、公告を発布した。この公布の内容は、「国務院および市、区政府の安全生産、事故の防犯安全を強化することにかかわる規定に基づき、行政判断の公開、公正という基本原則により、朝陽区秀水市場に存在する重大な安全問題に鑑み、市場経営者と消費者および周辺の単位(企業など)、ならびに大衆の生命財産の安全を保障し、大衆の利益および公共利益を維持するために、朝陽区人民政府建国門外街道弁事処は、秀水市場撤去に関する公聴会を開催する。」というものである。この公聴会は7月15日に開催された。
   公聴会とは、「国または地方公共団体の機関において、一般的関心および目的を有する重要な議案について利害関係者・学識経験者などから意見を聴く制度」(広辞苑)である。この概念は、中国においても同様である。 しかし、実際には形式的なものに過ぎず、個体戸の意見が取り上げられることはなかった。既定方針の確認に過ぎないものであった。


(西単の再開発地区には、“80万市民が健康な都市建設にともに参与し、手を携えよう”という文字が大書されている。)

  秀水市場の利害関係者は、次のように分類ができようか。第一に、(1)既存のテナントである個体戸、この個体戸の取引先(ニセモノ・メーカーや卸業者など)、第二に、(2)北京市朝陽区建国門外社区経済管理センターおよびこの関連の大企業(北京市朝陽区建華貿易公司、北京新雅盛宏不動産開発公司、北京秀水豪森服装市場有限公司など)、第三に、(3)朝陽区建国門外社区住民、第四に、(4)消費者(外国人観光客も含む。)である。
  個体戸には、今の秀水街、および「秀水文化」は、自分たちが育んできたのではないかとの思いがある。これが政府関係の大企業に商標登録され、かつ、新しい大廈にはテナント料から判断して入居できそうにない。自分たちの権利が侵害されたと考えるものが多い。
  北京市朝陽区建国門外社区経済管理センターおよびこの関連の大企業は、地域の治安維持、景観改善などをタテマエとしつつの再開発計画であるが、実際には特権を用いて、更なる利権獲得を目指していると見られよう。 朝陽区建国門外社区住民および消費者に当事者意識はあるだろうか。決まった方針を受入れるだけであろう。



次号の更新は10月20日(水)ころを予定しています。

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